57 才能買います

 テレビで「Britain's Got Talent 」という番組をやっていました。視聴者参加番組というのでしょうか、ロイヤルバラエティーショーの出演者を一般公募して、みごと優勝したひとは女王陛下の前で才能を披露することができるという。。。これもBritain's Got Talent であって、England's Got Talent でないところがミソかな?スコットランドからも来ております。ともあれ、いろんなひとがいろんな芸で、我こそは、と自分の特技をステージで披露します。それこそ、歌あり、踊りあり、10歳のコメディアン、アクロバットあり、グループのダンスあり、ミュージカルから歌って踊る子供のグループあり。
 80歳の男性がタップダンスを披露。タキシードに身を包み、紳士。おじいちゃん、ちょっと足元大丈夫かな~、っていう危ういとこもあったんですが、年はとっても前向きでがんばってる!って感じ。亡くなった奥さんにささげる、と言ってました。
 動物を連れてくるひとも多く、馬といっしょにダンスしようとしたがちゃんとダンスになってなかったり。犬といっしょに歌おうとしたけど、犬がひとことも(ひと吠えも?)発声しなかったり。一発勝負だからねえ。
 マドンナばりにコスチュームも決めたダンスの先生(おばちゃん)。セクシーなアクロバットの夫婦。小さいときからバトンをまわすのが特技だったのに両親に反対され、おばあちゃんに教えてもらったというユニークなバトントワラーの男の子。
 セレブの審査員3名が2名OK なら予選通過。審査員がだめでも会場のオーディエンス(視聴者)から「なんでだめなのよ、いいじゃない、審査員ブー」、が入って通過するひとも。反対に審査員がブザーでX(バツ)をつけるとだめ。バツが3つつくと、芸の披露途中でも強制退場。
 舞台に立った途端に緊張したのか歌えなくなるひとや、ねこを連れてきて、なにかしようと思ったのでしょうが、舞台にあがったら、ねこの一匹がステージからそでにひきさがって逃げちゃったりとか。笑えます。みな真剣で、なんとか女王様に自分の演技、特技、才能を見せたい、とがんばります。衣装も毎回変えてがんばってるのよね。
 審査員のコメントがまた、おもしろい。シビアなものあり、笑えるものあり。顔中せんたくばさみではさみだした人には、またたくまにブザーが鳴り3xバツ。退場。それは才能じゃないだろう、って。そら、そうだわなあ。
 誉める場合は形容詞が楽しくて、いろいろと勉強になります。


 Absolutely がまず頭につき、 breathtaking, excellent, fantastic, lovely, marvellous, phenomenon, stunning, super-talented, unique, wonderful...(以上アルファベット順)


 ちょっと使えるかな、これ覚えてたら。「こんなの、わたしの人生の中で今まで見たことない、素晴らしい」っていうのが審査員たちの最高の誉め言葉だったようです。
 さて、イギリス各地から集まったひとたちが、マンチェスター、バーミンガム、ロンドンのオーディション会場に集まり、芸を披露し、予選へと進みます。合格して次のステージへと進むひとは応援団もいっしょにがんばっていて、家族やら友人やらが、一致団結して会場に集まり応援。志願者本人の顔入りTシャツをちゃっかりつくって会場でそれを着て応援してたり。すごいですね。いつのまにつくれるんだって感じ。応援にもリキが入っています。
 2週間の激戦を勝ち抜き、最終選抜に残った6組とは?
 * ラップダンスの若い男の子数人のティーンズ・グループ
 * ぬいぐるみを使った腹話術ならぬ、人形使い?って言うんですか?の男性(音楽にあわせ
  てぬいぐるみをあやつる)
 * ミュージックにあわせシェーカーやボトルを振り回し、カクテルをつくりながらパフォーマンスす
  る、2人組男性バーテンダー
 * ミュージカル歌い(この女の子、12歳)
 * シンガー(この女の子、6歳!)
 * オペラシンガー(携帯会社のセールスマン)


 この中から、審査員と聴衆と一般の電話投票で一位を選ぶのです。
 12歳の女の子は初回マイフェアレディ、次がメアリーポピンズ、最後またマイフェアレディのお父さんの歌で締めくくり、歌、踊り、演技力ともマル。審査員をして、きみをミュージカルにプロデュースしたい、と言わしめるほど。
 特に印象に残ったのが、6歳の女の子。2歳のときから歌を歌っていた、という、つわもの(?)。おかっぱの長い髪で、笑顔がかわいい、あどけなさなのですが、マイクを持って歌いだすと、どすが利いてて、節回しなんかは演歌なみ!とっても6歳とは思えない伴奏なしでの歌いぶりと度胸。ちなみに歌は「Over the Rainbow」。これ、すごくいい。また聞きたい、と思わせる深みのある歌い方と声。
 視聴者一般電話投票の結果、栄えある優勝の栄冠を獲得したのは、アリアを歌った男性でした。歌は有名なトゥーランドットの中のアリア「誰も寝もやらず」。歌詞の最後 Vincero!(勝ち取るぞ!)そのままに優勝となりました。オペラの中では姫を「勝ち取る」んですがね、あ、またひとこと多い?
 しかし、みなすごいです。自分の才能にかけてる、がんばるエンターテイナー、って感じ。6歳の女の子に戻るけど、大会に参加して決勝まで来た感想は?と聞かれて「今までの人生の中でいちばんうれしい」って。この子、6年しかまだ生きてないんだけどね。
 そう、この番組に感動して最後まで見つづけたのは、意味があります。一生懸命なひとたちを目の当たりにして、失業してつらい?求職活動の中、自分の励みにもなるよう、したためてるからにほかならないんです。うわあ、勝ち取るぞ!(?)


 <追伸>これ「America's Got Talent 」としてアメリカでもテレビでやったらしい。日本にも
    上陸するのかしらん。


2007年7月6日        
© Mizuho Kubo , All rights reserved…..July, 2007



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