46 アフリカを救え

ライブエイド・今度はライブエイト(8)。
7月2日にハイドパークですごいコンサートやりました。それも午後2時から夜中まで。約10時間。もちろん、パークの中で、全席自由。しかし椅子なんてないから、ステージに近いところに行こうと思うひとは早朝から並ぶ。並んだひとにとっては16時間以上の長丁場コンサート。
BBC1でテレビ中継はするし、ラジオでも。インターネットでもライブが見れます。
イギリスのこの時期、天気がよければオープンエアに芝生の上でピクニック気分で楽しめるコンサートはいっぱいありますが。これ、とくべつ。
告白ひとつ。このひと、ずっと ボブ・ゲドルフ と呼ばせていただいてたんですが、正解は ボブ・ゲルドフ (Bob Geldof )でしたわ。失礼しました。あんなにたくさんテレビにも新聞にも出てるのにね、気が付かなかった。普段は細かいところにさくっと気が付くタイプなんですけどねぇ。
ともあれ、このひとがなぜかアフリカ問題にえらくご執着で、何度もみなを抱え込んで慈善チャリティコンサートを挙行されております。
「アフリカを貧しさから救おう、飢えから救おう、子供たちを救おう」
7月6日から始まる G8 サミット(主要国首脳会議)の前にアフリカの貧困対策をアピールすべく、コンサートもイギリスだけでも何箇所かで同時進行するとともに、G8の国* すべてにそれぞれコンサートをしかけました。日本も参加してましたね。どのくらい反響があったのか、在イギリスの日本人としては興味深いところです。
こちらロンドンはハイドパーク。それこそすんごい数のひとたちが一同に繰り出したのです。出演の歌手たちもすごい。ポール・マッカートニーがオープニング。最後の締めくくりもやっておりましたな。フィル・コリンズ、スティング、コールドプレイ、U2、アニー・レノックス、ジョス・ストーン、などなど。(わたしの知ってるのはこのくらい)
「サー**」ポール・マッカートニー、「サー」エルトン・ジョン です。その他のひとは呼び捨て。(フィル・コリンズ、ロビー・ウィリアムズ、だもんね)
マドンナはまあ、許す(在ロンドンだから)が、なんでマライア・キャリーなの?とか。
出演者は知らないバンドも多かったです。やはりわたしは80年代の人間か。老年として感心したのが、フー と ピンクフロイド。白髪になってもパワフルにロックしてる。すごいわ。
各担当歌手、各自2-3曲歌ってひっこんじゃうのですが、ロビー・ウィリアムズは、たった3曲でもぜんぶ自分のコンサート状態。オーディエンスもその雰囲気で楽しんでいたでしょうけどね。
キリスト教精神は認めるが、彼らのギャラはどうなっているのでしょう。もうけはみなアフリカに行く、というが、ほんとう???
出演者選ぶのってどうするんだろ?人気があっていいひとじゃないとだめだし。ボブが声をかけるのかな?それとも勝手に「わたしにやらせて」「僕に任せろ」って集まってくるのかしら。来てほしくないひとが来たらどうするんだろ。断る、わけにいかない場合は?声かけてくれなかったってひがむやついないのかね。
チケットを運良く手に入れた友人E も行きました。
いわく、ひとりのアーティストが2-3曲歌ったあとは次のひとが演奏するまで15分くらいあいだがあいて、ボアリング(退屈)。立ったまま応援してるので、疲れる。シンガーとシンガーの合間のあく時間に芝生にどっこらしょと座って休憩。で、次が始まったらまた立って応援するんだって。主催者の進行パフォーマンスに問題があると思ったそうです。つぎつぎ、切れ目なくどんどんやってくれたらいいのにね。
翌日オックスフォード通りでバスを待ってたら、アフリカをギターに見立てたライブ8のデザインの入ったT-シャツを着ているおばさんがいて、背中には「このT-シャツが世界を救う!」なんて書いたあるんですね。
お金で解決する問題でもないと思うなあ。そらあ、お金がないと貧困生活から抜け出ることができないけれど、生まれも育ちも先進国ビンボー人の心情として、いくら先進国の人間がお金を寄付したとしてもそれで解決される問題なんだろうか。
アフリカのひとびともほんとにそれを願っているのか?それは飢えより満腹の方がいい、死ぬより生きたい。でも、みんなみんな、アメリカやヨーロッパのようなレベルの世界に住みたいと思うのだろうか。
このコンサートだって、一回きりじゃなんにもならない。世界の(ほとんどのすごい数の、と主催者側は言うが、それって何パーセント??)たかが世界の国のうちの8カ国プラスワン(南アフリカのヨハネスブルグ(英語ではジョハネスバーグとはっちょんしますが)の、それも一部のひとたちが1日アフリカの飢饉について考えたとしても、あとの364日は自分のことしか考えていないんじゃ、なにもならない。
翌日の新聞にも、ターゲットとなっている肝心のアフリカのひとびとのいったい何人が、何パーセントがこのコンサートの意義をわかっているのか?と批判していました。遠くの舞台で白人がちゃらちゃらギターひいたりバンド組んで歌ってる、自分たちとはかなりかけ離れた世界であったのではないかと。
芸能人がみなを先導してコンサートをしない限りアフリカのことを考えないのか?政治家は何もしないのか?政治家に頼ってていいのか?またしても答えの出ない疑問でした。わたしに何ができるのか??コンサートのチケットを買うこと?チャリティになけなしのお金を寄付すること?もしくは、ひとはひと、と割り切ってなにもせず、なにも見ないようにすること?
アフリカだけじゃないよ、救わないといけないのは。
結局このコンサートは世界9カ国で開催されました。
イギリス ロンドンはハイドパーク
バーミンガム、マンチェスター、リバプールなどで大スクリーン
フランス パリ
ドイツ  ベルリン
アメリカ フィラデルフィア
イタリア ローマ
カナダ  トロント
日本   東京   知ってた???
ロシア  モスクワ  以上 G8の国
南アフリカ  ヨハネスブルグ

当のアフリカの国が アフリカの中でも比較的先進国の南アフリカだったというのも、ちょっと、??です。どうやら最後の土壇場で入れたらしい。お国の事情で、スーダンとかではできないというのもあるだろうけれど。

<うんちく>
G8 の国* そう、昔はたしか G7 だったよなあ。ロシアが8なのかしら。
イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ロシア、アメリカ、カナダ、
そして日本だわ。
イラクを入れて G9にでもすれば。。。(ジョウダンですけど)

 サー** Sir 称号、男性の呼びかけ。
女王さまから称号を受け賜わったかたがた。生まれたときから貴族の家に育ってなくても社会的にいいことするともらえるんです。そのひとだけ、一代限りの称号ですけどね。女性版は ダーム(Dame)。アテネオリンピックで二つの金メダルを取ったイギリス人女性スプリンター ケリー・ホームズ は ダームの称号をもらいました。
(ケイティ・ホームズじゃないよ、彼女はトム・クルーズの婚約者。。っと。どんどん話がそれていくのでこのへんで)

 <日本のみなさまへの素朴な疑問>
コールドプレイやジョス・ストーンって日本でも人気なの?知られてる?

2005年7月7日                    
© Mizuho Kubo , All rights reserved…..July, 2005

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