51 花は桜木

今回の日本帰国は4月でした。4月に帰るということは?さくら。花見に帰ったみたいなもんです。  少しゆっくり滞在だったのでちょうど日本にいる間、さくら全コース網羅。つぼみから三部咲き、五部咲きを経て、満開、果ては散り桜、まで堪能。散ったあとの桜の花びらの絨毯も満喫。また、わたしは関西ですので、大阪、京都、神戸、奈良の桜と、関西近郊を全部見事に堪能しました。まるでわたしの帰国を待っていたかのように花が咲きはじめ、そめいよしの、八重桜、しだれ。祇園さんと円山公園、清水さん(以上京都)。ジモッチーは万博公園。奈良は大野寺の赤しだれも又兵衛桜も素敵でした(ローカルでごめんね)。それに電車に乗っているだけで、沿線の両脇に花見ができますね。
しかしこの桜というのは日本民族にとってすごいものだと今更ながら実感。さくら、というのは花が咲いている間を楽しみます。でも、花が咲いてる間って1週間もないのです。一年のうちのたった1週間足らずのために日本民族は国を挙げて、会社、町内会をあげて桜を追っかけます。桜前線が出るころにはみな、新聞やニュースを追いかけ、うちの近所はいつが見頃じゃ、では花見はいつに予定じゃ、とうるさい、うるさい。
イギリスでこういうことがありますでしょうか?もちろん、一年の半分が冬のここにも花は咲きます。花カレンダーとしては、
2月 スノードロップ に始まり、
3月 クロッカス、水仙 が咲いたかなと思うとやっとこさ春の気配
4月 チューリップ
5月 菜の花(畑)、ブルーベル
6月 バラ~~~!!!


  で、大御所バラさんの登場で夏は終わります(あ、終わってしもた)。イギリスの国花はバラですから、当然でしょう。もちろん、イギリスにも桜はあります。ありました。
今回日本の見事な桜三昧のあと、帰ってきて気が付きましたが、以前に思っていたほどイギリス(ロンドン)に桜がないことはない(二重否定)。日本のような山ごと桜、や川べり並木、なんてのは期待できませんが、けっこうある。そう思うとやたら目立つ。観てしまう。探してしまう?



意地でも見つけようとしてるみたい。日本とは種類がちと違うようですが八重桜の類(たぐい)が多いように見受けます。花のひとグループごとが、ぼてっとマリみたいに丸い大きい束なの。うちの近所にもあった、すごいのが。涼しい気候だからか、いまだに5月に桜見物ができる。花見、というより見物ですな。一箇所だけ観る、っつうカンジ?つぼみが赤くて、咲くと薄ピンクなのは日本と同じ。あまりに赤い粒があるので実、かと見まちごうたほど。さくらんぼの実のなる木もあります。気候のせいでゆぅっ~くり咲く。花もちが長い。だから日本の桜のようにさっと咲いてさっと散らない。いつまで~も咲いてる。これって桜かよ?





 そう、さくらってつぼみのときは木が赤い。三部咲きは木全体が濃いピンクで赤っぽい。で、五部咲きくらいでピンクっぽくなり、満開は「しろ」。しっかし、あの満開のときの桜姿の潔(いさぎよ)さ。これって、やはり、日本人の心情でしょうか。「日本人でよかった」っつうのは花見のとき?
それに日本では4月は入学、進級の新学期の始まり。入社ってのも。なにごとも桜なしでは始まりません。季節にあってるよな。四季を感じ、重んじる日本ならではのマッチングです。これほど桜がきれいだと思ったことはありませんでした。
しかし、なぜ花見にブルーシートが要る?テレビや新聞で報道されるたび、思いますが、あれ、やめてほしい。今年は気温が低くて、はやった花見客が花のない木の下で酒盛りしているのを見ましたが、やたらブルーシートだけが目立つ。やたら酒飲んで酔っ払うのもやめてほしい。
そこでご提案。ここはほら、イギリス式に行ったらどうかしら。イギリスにはピクニックというものがあるんですよ。短い夏を求め、気候が良くなると、ふんだんにある、近所の公共の公園で、自宅の庭でピクニックするんです。夏には大きなパークでコンサートがあったりして、その無料ピクニック場所に陣取り向こうから聞こえてくる音楽をバックにピクニックします。こちらのピクニック用シートは言ってみれば毛布のようなものです。夏といっても地面の冷たさをカバーするために、表は薄い毛布地。裏地はコーティングなどしてあり、地面においても大丈夫。折りたため簡単に小さくなります。タータンチェックの敷布などにゆっくり腰をおろし、楽しむ。もしくは、簡易チェアを用意するお年寄りも。各自手作りのおべんとや、スーパーで買ってきた、惣菜などをつまみにワインも飲みますが、うた歌ったり、騒いだりはしないなあ。また、こちらのピクニックは花を観賞するためのものではないですが。。。日本とイギリスの良いとこだけピックアップしていけばどうかしらね。目にもやさしいピクニックシートで花見をする。あとは各自の常識と楽しみ方だよね。

2006年5月11日                     
© Mizuho Kubo , All rights reserved…..May, 2006

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