3 ロンドン・オープン・ハウス
9月22日と23日に恒例 ロンドン・オープン・ハウスがありました。これは長く続いているらしく毎年、9月の土・日二日間だけ、普段は一般に公開されていない、政府の建物や、オフィス、教会、古い建物などの内部を見ることができます。実に500以上の建物が、登録され、参加しています。
はじめに行ったのが St Pancras Chambers。
ロンドンには方面別いくつかの鉄道駅がありますが、ハリー・ポッタで一躍有名になったキングス・クロス駅の隣、セント・パンクラス駅の構内にある、もと Midland Grand Hotel です。鉄道会社が終着駅にふさわしいホテルをということで、つくられたネオゴシック様式の建物ですが、時代の流れに添えず、改装するには高くつきすぎて、そのホテルとして活躍したのはたったの10年ということです。
その後、鉄道のオフィスとして使われたりもしましたが、1980年には消防法の枠に達せず、使われないまま現在に至ります。
内部は荒れ果てたままで、ちょっと「幽霊屋敷」みたいなのですが、雰囲気は十分に味わえます。一番上の階の階段の踊り場と、丸天井の絵が色あせもそうなく、当時の雰囲気のままに残っている様子が懐かしく、美しかったです。モダンな美しさでない、ちょっとふるぼかしいというノスタルジックな美しさ?なのですが。
アガサ・クリスティの作品そのままに、19世紀終わりの、当時の上流社会の紳士淑女たちが交流の場を求めて、このホテルのコーヒーサロンに集まったのでしょう。また当時としては女性がタバコを吸うなんてことはショックだっただろう、「淑女の喫煙サロン」なんてのも流行ったようです。ときどきは、映画の撮影に使われたり、スパイスガールズのビデオにも登場したらしいです。
ユーロスターが延長され、キングス・クロスかセント・パンクラスから出るようになったら、また本来のホテルとしてカムバックするかもしれません。アメリカ系のホテルチェーンが改装を考えているようですが、改装するには莫大のお金がかかるでしょうけど、外観と同じく、そのオリジナルな雰囲気を壊してほしくないものです。
次は Imagination というデザイン会社のオフィス。うってかわってモダン。前はエドワード王時代に学校だったという、建物をさすがデザイン会社です、ってかんじで、白い、帆のような屋根と鉄骨、スチールで内装がモダンにデザインされています。いきなり22世紀って感じです。
おしゃれな社員食堂(というより、モダン・ブリティッシュのレストランと言うべきか)もあって、いいなあ、こんなところで働けたら、って感じです(昼ごはんのことしか考えてないかも)。
感性が常に必要とされる、デザイン関係の仕事場だからという気もします。やっぱり「環境」ですよね。
次は、Crown Estate Office。
日本語でなんというのでしょうかね。ロイヤル・ファミリーの土地を管理しているオフィスです。
内部はとっても美しくデコレートされており、天井の模様や細工がイスラムちっく。全体に寄木細工や、タイルが色もきれいにきっちりとはめられています。
いまももちろん、オフィスとして使っているので、昔の貴族の館みたいな内装のところにファクシミリやコンピュータのモニターなどが机に置いてあるというのが、なんとも背景と不釣合いです。でも、こんなとこで仕事してたら、いいやろな。
Chairman や Chef Executive のオフィスには王家の方々の大きな絵なんかが飾ってあり、ほんとにこれは貴族の館です。調度品も博物館のような、ため息ばかりのこの館を出て、いよいよクライマックスは政府関連たてもの。
Foreign Office & India Office がいいよ、と去年行ったともだちが推薦してくれたのですが、残念ながらテロのため、閉鎖。政府関係の建物は Portcullis House (これ、発音でけへん)しか開いてないよ、とそこで言われました。で、そこに行くにはどうしたらいいの?Westminster Hall というからには、ウエストミンスターの近くだろう、と行ったのですが、道を聞きまくってわからず。
巡回していたとっても地方なまりのすごい二人組みのおまわりさんに聞いて、やっと国会議事堂のところから入るということがわかりました。
ビッグベンのある、あそこです。ビッグベンとは反対側から中へ。
多くのひとが雨の中、列をつくっています。ひえー、いつ入れるのかな。ものものしい、セキュリティ・チェックのため、少人数ずつしか中へ入れません。飛行機搭乗のときより、厳しいかも。ひとりずつ、手荷物を通して、からだもちゃんと触られてチェック。
やっと、セキュリティを通り、中に入って振り向けば、それは教会のステンドグラスのウィンドウ。大きなステンドグラスが美しく輝いています。中はがらんと広く、屋根の天井には太い木の梁が。
これが Westminster Hall なのですね。
これで終わりやないよね、と進むと外に一旦出て、ピッグベンを左間近に見ながら、また建物の中へ。れんが造りの古い建物を通りぬけると突然、ガラス張りの扉を開けて、エスカレータが。これが Portcullis House に通じる通路なのです。<ビッグベン右の建物>
Parliament(国会議事堂)のなかに入っていくのか、と思いきやモダンなでかいアトリウムに出ます。これが Portcullis House のアトリウムです。温室のように、緑の木々や、噴水で、中はあったかいです。
会議室も公開されており、窓からはテームズを隔てて、ロンドン・アイ(ミレニアム記念でつくられた大観覧車)が間近に見えます。景色は最高。会議室の中は写真撮影禁止,となっていましたが、外に向け、カメラを向けてみたい心境です。
政府関係の建物が今年はあのニューヨークのテロ事件のために、このひとつしか公開されていませんでした。ほんと、返す返すもにっくきテロリストです。こんなところにも影響が。
ほんとうに、一日二日で、全部を見るのは不可能で、今回はちよっと下調べが不足だったかなと思います。事前にリストを入手し、どこを見たいか、自分の興味あるところをピックアップして、効率よく回らないとたいへんです。ひとつふたつでもいいのでしょうけれどね。まあ、初の試みにしては、回れた方でしょう。
このリストに載っている建物で、普段でも、一般的に公開されているものもあり、そういうところでしたら、まだ、いつでも行けるとは思います。
ほんと、こういうことをするイギリスって。国はすごい。
子供のためのアクティビティなんてのをやっている場所もあって、小さいうちからそういう教育をしているのですね。
くにごと。自分たちの国の歴史や、やってきたことに自信がないと、できません。
小さいときから、からだで、目で耳で、覚える。そういう教育だと思います。
ふむ。今回は全編通じて、うつくしく、まとめられましたね。
おくにのことばで~へんかったでしょ?(あ、でた)
2001年10月12日
はじめに行ったのが St Pancras Chambers。
ロンドンには方面別いくつかの鉄道駅がありますが、ハリー・ポッタで一躍有名になったキングス・クロス駅の隣、セント・パンクラス駅の構内にある、もと Midland Grand Hotel です。鉄道会社が終着駅にふさわしいホテルをということで、つくられたネオゴシック様式の建物ですが、時代の流れに添えず、改装するには高くつきすぎて、そのホテルとして活躍したのはたったの10年ということです。
その後、鉄道のオフィスとして使われたりもしましたが、1980年には消防法の枠に達せず、使われないまま現在に至ります。
内部は荒れ果てたままで、ちょっと「幽霊屋敷」みたいなのですが、雰囲気は十分に味わえます。一番上の階の階段の踊り場と、丸天井の絵が色あせもそうなく、当時の雰囲気のままに残っている様子が懐かしく、美しかったです。モダンな美しさでない、ちょっとふるぼかしいというノスタルジックな美しさ?なのですが。
アガサ・クリスティの作品そのままに、19世紀終わりの、当時の上流社会の紳士淑女たちが交流の場を求めて、このホテルのコーヒーサロンに集まったのでしょう。また当時としては女性がタバコを吸うなんてことはショックだっただろう、「淑女の喫煙サロン」なんてのも流行ったようです。ときどきは、映画の撮影に使われたり、スパイスガールズのビデオにも登場したらしいです。
ユーロスターが延長され、キングス・クロスかセント・パンクラスから出るようになったら、また本来のホテルとしてカムバックするかもしれません。アメリカ系のホテルチェーンが改装を考えているようですが、改装するには莫大のお金がかかるでしょうけど、外観と同じく、そのオリジナルな雰囲気を壊してほしくないものです。
次は Imagination というデザイン会社のオフィス。うってかわってモダン。前はエドワード王時代に学校だったという、建物をさすがデザイン会社です、ってかんじで、白い、帆のような屋根と鉄骨、スチールで内装がモダンにデザインされています。いきなり22世紀って感じです。
おしゃれな社員食堂(というより、モダン・ブリティッシュのレストランと言うべきか)もあって、いいなあ、こんなところで働けたら、って感じです(昼ごはんのことしか考えてないかも)。
感性が常に必要とされる、デザイン関係の仕事場だからという気もします。やっぱり「環境」ですよね。
次は、Crown Estate Office。
日本語でなんというのでしょうかね。ロイヤル・ファミリーの土地を管理しているオフィスです。
内部はとっても美しくデコレートされており、天井の模様や細工がイスラムちっく。全体に寄木細工や、タイルが色もきれいにきっちりとはめられています。
いまももちろん、オフィスとして使っているので、昔の貴族の館みたいな内装のところにファクシミリやコンピュータのモニターなどが机に置いてあるというのが、なんとも背景と不釣合いです。でも、こんなとこで仕事してたら、いいやろな。
Chairman や Chef Executive のオフィスには王家の方々の大きな絵なんかが飾ってあり、ほんとにこれは貴族の館です。調度品も博物館のような、ため息ばかりのこの館を出て、いよいよクライマックスは政府関連たてもの。
Foreign Office & India Office がいいよ、と去年行ったともだちが推薦してくれたのですが、残念ながらテロのため、閉鎖。政府関係の建物は Portcullis House (これ、発音でけへん)しか開いてないよ、とそこで言われました。で、そこに行くにはどうしたらいいの?Westminster Hall というからには、ウエストミンスターの近くだろう、と行ったのですが、道を聞きまくってわからず。
巡回していたとっても地方なまりのすごい二人組みのおまわりさんに聞いて、やっと国会議事堂のところから入るということがわかりました。
ビッグベンのある、あそこです。ビッグベンとは反対側から中へ。
多くのひとが雨の中、列をつくっています。ひえー、いつ入れるのかな。ものものしい、セキュリティ・チェックのため、少人数ずつしか中へ入れません。飛行機搭乗のときより、厳しいかも。ひとりずつ、手荷物を通して、からだもちゃんと触られてチェック。
やっと、セキュリティを通り、中に入って振り向けば、それは教会のステンドグラスのウィンドウ。大きなステンドグラスが美しく輝いています。中はがらんと広く、屋根の天井には太い木の梁が。
これが Westminster Hall なのですね。
これで終わりやないよね、と進むと外に一旦出て、ピッグベンを左間近に見ながら、また建物の中へ。れんが造りの古い建物を通りぬけると突然、ガラス張りの扉を開けて、エスカレータが。これが Portcullis House に通じる通路なのです。<ビッグベン右の建物>
Parliament(国会議事堂)のなかに入っていくのか、と思いきやモダンなでかいアトリウムに出ます。これが Portcullis House のアトリウムです。温室のように、緑の木々や、噴水で、中はあったかいです。
会議室も公開されており、窓からはテームズを隔てて、ロンドン・アイ(ミレニアム記念でつくられた大観覧車)が間近に見えます。景色は最高。会議室の中は写真撮影禁止,となっていましたが、外に向け、カメラを向けてみたい心境です。
政府関係の建物が今年はあのニューヨークのテロ事件のために、このひとつしか公開されていませんでした。ほんと、返す返すもにっくきテロリストです。こんなところにも影響が。
ほんとうに、一日二日で、全部を見るのは不可能で、今回はちよっと下調べが不足だったかなと思います。事前にリストを入手し、どこを見たいか、自分の興味あるところをピックアップして、効率よく回らないとたいへんです。ひとつふたつでもいいのでしょうけれどね。まあ、初の試みにしては、回れた方でしょう。
このリストに載っている建物で、普段でも、一般的に公開されているものもあり、そういうところでしたら、まだ、いつでも行けるとは思います。
ほんと、こういうことをするイギリスって。国はすごい。
子供のためのアクティビティなんてのをやっている場所もあって、小さいうちからそういう教育をしているのですね。
くにごと。自分たちの国の歴史や、やってきたことに自信がないと、できません。
小さいときから、からだで、目で耳で、覚える。そういう教育だと思います。
ふむ。今回は全編通じて、うつくしく、まとめられましたね。
おくにのことばで~へんかったでしょ?(あ、でた)
2001年10月12日
写真は2009年12月5日にアップしました。
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