7 クリスマスの楽しみ

11月の半ばをすぎると気持ちが、うき、うき。クリスマスしてきます。
わたしは無神論者です。キリスト教徒でも仏教徒でもありません。ましてイスラム教徒でもございません。でも、ここ、キリスト教国にいると、それほど熱狂的な信者の国というわけではないのですが、クリスマスは身近に感じられます。
10月終わりに冬時間に変わり、11月の声を聞くと、途端に寒く、暗くなってきて、夜がいっそう長く感じられます。この時期の唯一の楽しみはクリスマスでしょうか。もっともわたしの楽しみというのは、宗教的背景はまったくなく(ま、少しはあるか)主に、見ることに集中されます。
まず、通りがおしゃれになります。
メインのショッピンング・ストリートである、リージエント・ストリートとオックスフォード・ストリートがクリスマスライトの飾り付けがなされ、ライト・アップされます。今年はリージエント・ストリートが9日でオックスフォード・ストリートが19日でした。いつもスターか、有名人がやってきてライトに点火式をやるらしいです。
夜仕事終えて通りに出ると、ライトがきらきらしてて、「あら、ついに点火したんだ」と思います。一度ついたら昼間でも電気がついてるのはちともったいないけど。暗いロンドンではいいのでしょう。
ロンドン名物ダブルデッカーに乗ってストリートを夜走るとキラキラのライトのトンネルをくぐりぬけるようです。このライトのデザインなどは毎年変わるはずですが、ここ何年か不況のため、あまり代わり映えがしないという声も。パリとかの方がおしゃれ、ですよね。やっぱ。
王室御用達デパート(御用達を剥奪されるかもしれんといううわさもあるが)ハロッズのある高級ブティック街ナイツブリッジもきらめきます。リージェント・ストリートやオックスフォード・ストリートとはちよっと違って、通りの上にライトの橋のようにかけるのではなく、通りのこっち側とあっち側にそれぞれ、ちいさなクリスマス・ツリーが間隔よく置かれ、ライトがつきます。クリスマス・ツリーがだんだんだんと並んでるという感じです。
もちろん、百貨店や、ブティックのウィンドウの飾りもクリスマスになります。ロンドンのセンスも年々良くなってきているようですね!
今年は12月6日に巨大クリスマス・ツリーがトラファルガー・スクエアに登場します。これは毎年ノルウエーからイギリス国民にお礼にと送られるものです。初日にライト・アップされ、夜はこのもみの木の下で賛美歌隊が歌ったりします。
そもそも、クリスマス・ツリーを飾る習慣が一般化されたのは、かのヴィクトリア女王の時代でした。夫君のアルバート公も、もともとドイツ出身。ドイツで一般的だったクリスマス・ツリーや飾りがイギリスの一般家庭にも定着したのはこの時代でしょう。
バレエ!
くるみ割人形、シンデレラ。子供たちにも喜ばれる題目はクリスマスの楽しみの一環ですね。
ミューゼアム!
ロンドンにはたくさんの Museum  がありますが、いろんなところで「クリスマス特集」なるものが催されます。子供も大人もひっくるめて楽しめます。
クリスマスコンサート!
有名なセントポール寺院や、ウエストミンスターアベイでクリスマスのコンサートが開かれます。もちろん、宗教的意味合いの大きなものです。一般人も非キリスト教徒も参加できます。
ただし、25日、その日はなんと、ロンドンの地下鉄・バスは一切とまります。公共職員も人間なので、クリスマスは一日お休み。
これが信じられないけど、ずっと続いてるんですねえ。
わたしははじめて11月にロンドンに来て、仕事場でお客サンに「クリスマス・デイはバスや地下鉄が動かないって聞いたのですけど本当ですか」と、聞かれて「いや、そんなバカなことはありません。だいじょぶですよ」なんて言って「しまった!」のでした。まさかそんなことがあろうとは思いませんよねえ。
一切、動かんのですよ。日本だって、お正月はむしろ、増便するのにね。ま、初詣もないしかなあ。だから、クリスマス・デイは街中ひっそりしてます。お店もみな閉まるし。みな、遅起きして、昼おそくにゆっくりと、家族といっしょに、「クリスマス・ディナー」食べるんですな。
子供たちは朝はようから目を覚ましていて、「プレゼント開けてもいい?」とうるさい。プレゼントはツリーの下においてあり、25日の朝あけます。
シャンペンかで乾杯ののち、クラッカー(日本でいうコメットみたいなもんですが、両側から二人でひっぱりあいをしてポンと音がして割れると、どっちかに小さなプレゼントが入ってる。キーリングとか小さいゲームとかとるにたらんもんですが)をひきあて、クラッカーの中にいっしょに入ってる紙の王冠なんぞをそれぞれアタマにつけて、みな、王さま、女王さまになってお祝いする。
ターキーの丸焼きとつけあわせの野菜(くたくたに煮てあって、じゃがいもはもちろんあり)。デザートはもちろんクリスマス・プディング。プディングといっても日本のプリンは想像しないでくださいね。発音は似てるけど、似て非なるものです。まあ、真っ黒の実だくさんのフルーツ・ナッツ・ケーキに砂糖のアイシングがかかってます。あっためて、ブランデーソースなんぞをかけて火をつけてフランベして、かつ生クリームをかけて食べるとけっこう悪くないですけど。量食べないほうがいいけどね。クリスマス・プディングは最長何年前までのが食べられるか?七年前のプディングは食べられるか?とかいうニュースもありましたが、またの機会に。
だいたいの一般的イギリス人家族のクリスマス・デイはこんな感じじゃないかと。去年ともだちのお宅におよばれして体験したのはこんな感じでした。
ま、村野せんせいに「長いですねえ」とこのごろ、言われているので、このへんにします。
I wish you all a Merry Christmas and a Happy New Year!

  そ、これもね、こっちはクリスマスまでこれを言って、終わると言わない。日本じゃ、新年あけてから「おめでとう!」と言いますよね。=あ、また長くなっちゃう。のでこのへんで。

 ☆特別付録ロンドン・クリスマス特別イベント・カレンダー

11月27日ー1月6日 Geoffrey Museum  Christmas Past
穴場的、イギリスの17世紀からのインテリアの歴史博物館。
シーズン中は各時代のクリスマスを思いうかべられる内装です。

12月1-9日 Aspley House A Victorian Christmas
週末はテーマごとの当時のコスチュームに身をつつんだ俳優?ガイド
さんが楽しく案内してくれます。

12月6日‐1月6日 Trafalgar Square Christmas Tree
点灯式のあとは、賛美歌隊のコーラスのある夕べもあり。

12月8日 The 21st Great Christmas Pudding Race
どういうのか一回行ってみたいのですが、クリスマス・プディングを
持って走る?

12月27日‐1月4日 Hampton Court Tudor Revelries
特にクリスマスらしいかどうかは不明。ヘンリーVIII 時代の酒宴の再現?

1月1日 New Year's Day Parade
ロンドン市長がブラスバンドなどの音楽隊といっしょにパレードします。


2001年12月3日                   

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