(archive) 番外編 ヴェローナ・オペラふたたび・今度はおんな三人旅
ヴェローナのアリーナの野外オペラに去年に引き続きまた行ってきました。
去年はシーズンが始まる最初の6月でしたが今回は8月の中旬。オペラ友人のプログラムの研究の結果、週末をかけて行けて見ものの出し物が2つ続けて観れるスケジュール。今回もアレーナ近くのホテルに宿が取れ、歩いて帰れるという条件1を見事にクリアし二泊三日で連日2つの観劇。しかも、そのあとヴェニスにまで足をのばすという欲張り版。飲み食べ、観ることが大好きな、かしまし3人「娘」(というにはちと恥ずかしいが、ま、許して)。うちひとりはヴェローナ観劇が今年初めてだったのですが、彼女はロンドン駐在体験あり、滞在中も、また帰国後の日本でもオペラを楽しんでいるというパワフルなお方。あとは去年のメンバーです。
オペラの歌にはイタリア語があう。ドイツ語もけっこう合う。でも英語はあわん。やはり英語にあうのはロック系の歌とテンポか。アリアを歌うならやはり原語でイタリア語、と思います。サンサーンスの「サムソンとデリラ」の原語フランス語を英語にふきかえて上演したのは失敗だったと言うのはオペラにはちょっとうるさい、いち友人の談。これは聖書の古典をオペラ戯曲にしています。あの、デリラの歌う、「君の御声がわたしの心をひらく」*というのを英語で歌われてもなあ。こちゃらの洋ものを劇団四季かなんかが日本語にしてやってるようなもんでしょうなあ。まあ邦人にはわかりやすいっつあ、わかりやすいけど。ハリソン・フォードさまが日本人俳優の吹き替えしてる映画を見てるようなもんですかね。唯一例外として、ひいきのタカラヅカの場合は許すけど。
またまた自己の世界に陶酔してきましたので、このへんでやめよう。
おもいっきり本題に戻りましょう。
しかし、オペラの曲目の題名、なんでいつも大げさなの?で、和訳がまたおおげさ。
オペラは古い歴史があるから、はなしの筋も大げさだし、舞台だしってんで題名も古臭くしないといけないってことはないと思うんだが。古語っぽいのよね。
トゥーランドットの有名なアリア、Nessun Dorma まあ、ひとことで言えば「誰も寝てはならない!」んですが。訳して題名になると「誰も寝もやらず」。。。。意味不明。
映画の邦題をつけるのといっしょでむつかしいったらむつかしいわねん。わかりやすく、荘厳に、しかも、簡潔に(題名がやたら長いとへんだし)、は同時には無理なんや。
原語(たいていはイタリア語、ドイツ語。フランス語もある)==> 英語==>日本語 この3段階活用がたいへんかも。英語とばして、原語==> 日本語と中抜きジャ~ンプしてしまうときもまたたいへん。
ジャンプした方がだいたい大げさたらしいかも。これを書くのに、日本語のオペラサイトをいろいろ研究・読破いたしましたが、あるわ、あるわ。まあ、日本にもこんだけおたくっつうか、好きなひとがいたのね。日本にいたときはまるで気がつかなかったけど。題名もいま風になってるのもあったけど、やっぱり、原語でみて、日本語訳読まないとようわからん題名もあります。
ちょっとその中から抜粋してみました。
「慕わしいひとの名は」**これだけで何のオペラかわかるあなたはけっこう通(つう)?!
これならなんとなく、愛の歌よね、とは思いますが、
「あれかこれか」「ふたりは同じ」
舟木一夫かいな?と思いますよね?学生時代ってかんじ????
「悪魔め、鬼め」これにいたっては題名だけ読んだら、はて、なんじゃいな?って感じ?
正解は文末、「うんちく」にて。「うんちく」ってアリアはないからね、だれもあるとは思わへんわい。また、ひとり漫才してしもた。
前述「誰も寝てはならぬ」大好きなんですけどね。どっかのコマーシャルにもなってたし、なんと、1990年のユーロ2004のテーマでもあったって。知ってた?それで有名になったんかいな。しかし、もそっとうまい題名のつけ方はなかったんか?ま、そのままやし。Nessun Dorma! = Nobody sleeps やけどね、英訳すれば。
誰もが知っている有名なものはそのまま、Nessun Dorma は Nessun Dorma でいいのかも。ビートルズの「昨日」「なるようになれば」なんていっても、誰もわかんないもんねぇ。
オペラ好きはワイン好き?ワイン好きだからオペラ好き?
イギリス駐在生活で覚えてつっこんだ趣味はオペラとアンティークとワインと言ったのはヴェローナ三人娘のひとり、Yですが、まさにそうでしょうね。また別のひとによると、オペラ好きはワインも好き!うん、これも当たってるような気がする。
オペラとアンティークとワインの共通点。考察しましたぞ。
ヴィンテージがものをいう(ざぶとん2枚?!)
古いものを時間空間を越えて楽しむ。
けれど、古くても現代にも通じてそのまま楽しめる。
往年のソプラノ歌手、マリア・カラスがテレビのドキュメンタリーで言っておりました。「わたしたち(歌手)はパーフォーマー。クリエイターである作曲家の作った話の筋やアリアの意図をいかに表現するか、にかかっている。それがわたしたちの使命であり、こころをくだく大事なところです」(後半、意訳)
ううん、なるほど。確かにこれらのオペラがつくられたのは、古くは300年以上前のものもありますが、今、この世代の現代人にもこころが伝わってきます。
またオペラとアンティークとワインに戻りますが、それを良い、と判断するのは、古いからいいってもんではなく、また、みながいいって言うから、でもなく、受け取る人の価値観にも左右されますでしょう。個性を大切にするヨーロッパ社会の考え方のなせるワザ生み出した知恵でしょうか。
最後、余談で締めくくりますが、この旅行の最後にヴェニスに一泊しました。ヴェニスは何度行っても(あ、またぁ、自慢たらしい?)ふつうのイタリアの町とは違う特殊な雰囲気があります。幻想の世界。非日常の世界。超日常の世界。
おいしいシーフードを狙ってわたしたちは、観光局のおねえさんにお勧めレストランを尋ねました。彼女は、ぶあつい、ガイドの小冊子をわたしたちに出して「それをお読み」
いつも前向きな 友人 Y はそのお姉さんにしつこく尋ねました。
「ねえ、貴女が恋人と(恋人と、っていうとこがええわね)この町でお食事するとしたらどのレストランに行くの?」
いやあ、ええ質問やなあ、ジモッチィに聞くのが一番やさかいね、と横で聞いてたらそのお姉さんあっさり返してくれました。
「どこにも行かない。ここは観光客の町だから」
一同大笑い。そうか、非日常の観光客いっぱいの町で日常の一般人が食べるような日常的レストランはないっつうことやね。でもおいしかったよ。
筆者うんちく注)
* Mon Coeur s’ouvre a ta voix アクサンが変換できなくてすんません。
わたしの心が貴方の声を思い出させる=直訳したらそーやな。
デリラ(イギリス人はダライアってはっちょんするの!)がサムソンを誘惑するときに歌ううたなんだわ、これが。メゾソプラノの人が歌う方が美しい、と思うとってもサンサーンス的な(?)アリアです。
**実はこれらの曲名例は RIGOLETTO というオペラの中のアリアなんです。
慕わしい人の名は(ジルダ)/いつも日曜に教会で(ジルダ)/あれかこれか(マントヴァ公爵)/ほほの涙が(マントヴァ公爵)/風の中の羽のように(マントヴァ公爵)/二人は同じ(リゴレット)/悪魔め、鬼め(リゴレット)
今回ヴェローナで観たのは、ラ・トラヴィアータ(椿姫)と リゴレット でした。2行あらすじ。
<ラ・トラヴィアータ>
高級娼婦が若いかたぎのおにいちゃんに恋をして身分違い、と父親に反対され、彼のために別れるため、うその演技をして結局病いで死んでしまうという、この手のストーリーはオペラに多いです。
<リゴレット>
道化のリゴレットが美しい自分の娘を隠していたのを、ご主人様の公爵に恋されちゃう。それを恨んでご主人様を殺そうとしたのに、間違って自分の娘を殺されてしまうという悲劇。
オペラは絶対に主人公が「美男・美女」。そう考えるとオペラ歌手ってたいへんね。
求む、容姿端麗、美声、演技力必要。
オペラのキーワード: 身分違い、親の反対、うそも方便、悲劇的結末、死んでいっしょになる
なんか、浄瑠璃みたいですなあ。
2004年11月11日
© Mizuho Kubo , All rights reserved…..November 2004
去年はシーズンが始まる最初の6月でしたが今回は8月の中旬。オペラ友人のプログラムの研究の結果、週末をかけて行けて見ものの出し物が2つ続けて観れるスケジュール。今回もアレーナ近くのホテルに宿が取れ、歩いて帰れるという条件1を見事にクリアし二泊三日で連日2つの観劇。しかも、そのあとヴェニスにまで足をのばすという欲張り版。飲み食べ、観ることが大好きな、かしまし3人「娘」(というにはちと恥ずかしいが、ま、許して)。うちひとりはヴェローナ観劇が今年初めてだったのですが、彼女はロンドン駐在体験あり、滞在中も、また帰国後の日本でもオペラを楽しんでいるというパワフルなお方。あとは去年のメンバーです。
オペラの歌にはイタリア語があう。ドイツ語もけっこう合う。でも英語はあわん。やはり英語にあうのはロック系の歌とテンポか。アリアを歌うならやはり原語でイタリア語、と思います。サンサーンスの「サムソンとデリラ」の原語フランス語を英語にふきかえて上演したのは失敗だったと言うのはオペラにはちょっとうるさい、いち友人の談。これは聖書の古典をオペラ戯曲にしています。あの、デリラの歌う、「君の御声がわたしの心をひらく」*というのを英語で歌われてもなあ。こちゃらの洋ものを劇団四季かなんかが日本語にしてやってるようなもんでしょうなあ。まあ邦人にはわかりやすいっつあ、わかりやすいけど。ハリソン・フォードさまが日本人俳優の吹き替えしてる映画を見てるようなもんですかね。唯一例外として、ひいきのタカラヅカの場合は許すけど。
またまた自己の世界に陶酔してきましたので、このへんでやめよう。
おもいっきり本題に戻りましょう。
しかし、オペラの曲目の題名、なんでいつも大げさなの?で、和訳がまたおおげさ。
オペラは古い歴史があるから、はなしの筋も大げさだし、舞台だしってんで題名も古臭くしないといけないってことはないと思うんだが。古語っぽいのよね。
トゥーランドットの有名なアリア、Nessun Dorma まあ、ひとことで言えば「誰も寝てはならない!」んですが。訳して題名になると「誰も寝もやらず」。。。。意味不明。
映画の邦題をつけるのといっしょでむつかしいったらむつかしいわねん。わかりやすく、荘厳に、しかも、簡潔に(題名がやたら長いとへんだし)、は同時には無理なんや。
原語(たいていはイタリア語、ドイツ語。フランス語もある)==> 英語==>日本語 この3段階活用がたいへんかも。英語とばして、原語==> 日本語と中抜きジャ~ンプしてしまうときもまたたいへん。
ジャンプした方がだいたい大げさたらしいかも。これを書くのに、日本語のオペラサイトをいろいろ研究・読破いたしましたが、あるわ、あるわ。まあ、日本にもこんだけおたくっつうか、好きなひとがいたのね。日本にいたときはまるで気がつかなかったけど。題名もいま風になってるのもあったけど、やっぱり、原語でみて、日本語訳読まないとようわからん題名もあります。
ちょっとその中から抜粋してみました。
「慕わしいひとの名は」**これだけで何のオペラかわかるあなたはけっこう通(つう)?!
これならなんとなく、愛の歌よね、とは思いますが、
「あれかこれか」「ふたりは同じ」
舟木一夫かいな?と思いますよね?学生時代ってかんじ????
「悪魔め、鬼め」これにいたっては題名だけ読んだら、はて、なんじゃいな?って感じ?
正解は文末、「うんちく」にて。「うんちく」ってアリアはないからね、だれもあるとは思わへんわい。また、ひとり漫才してしもた。
前述「誰も寝てはならぬ」大好きなんですけどね。どっかのコマーシャルにもなってたし、なんと、1990年のユーロ2004のテーマでもあったって。知ってた?それで有名になったんかいな。しかし、もそっとうまい題名のつけ方はなかったんか?ま、そのままやし。Nessun Dorma! = Nobody sleeps やけどね、英訳すれば。
誰もが知っている有名なものはそのまま、Nessun Dorma は Nessun Dorma でいいのかも。ビートルズの「昨日」「なるようになれば」なんていっても、誰もわかんないもんねぇ。
オペラ好きはワイン好き?ワイン好きだからオペラ好き?
イギリス駐在生活で覚えてつっこんだ趣味はオペラとアンティークとワインと言ったのはヴェローナ三人娘のひとり、Yですが、まさにそうでしょうね。また別のひとによると、オペラ好きはワインも好き!うん、これも当たってるような気がする。
オペラとアンティークとワインの共通点。考察しましたぞ。
ヴィンテージがものをいう(ざぶとん2枚?!)
古いものを時間空間を越えて楽しむ。
けれど、古くても現代にも通じてそのまま楽しめる。
往年のソプラノ歌手、マリア・カラスがテレビのドキュメンタリーで言っておりました。「わたしたち(歌手)はパーフォーマー。クリエイターである作曲家の作った話の筋やアリアの意図をいかに表現するか、にかかっている。それがわたしたちの使命であり、こころをくだく大事なところです」(後半、意訳)
ううん、なるほど。確かにこれらのオペラがつくられたのは、古くは300年以上前のものもありますが、今、この世代の現代人にもこころが伝わってきます。
またオペラとアンティークとワインに戻りますが、それを良い、と判断するのは、古いからいいってもんではなく、また、みながいいって言うから、でもなく、受け取る人の価値観にも左右されますでしょう。個性を大切にするヨーロッパ社会の考え方のなせるワザ生み出した知恵でしょうか。
最後、余談で締めくくりますが、この旅行の最後にヴェニスに一泊しました。ヴェニスは何度行っても(あ、またぁ、自慢たらしい?)ふつうのイタリアの町とは違う特殊な雰囲気があります。幻想の世界。非日常の世界。超日常の世界。
おいしいシーフードを狙ってわたしたちは、観光局のおねえさんにお勧めレストランを尋ねました。彼女は、ぶあつい、ガイドの小冊子をわたしたちに出して「それをお読み」
いつも前向きな 友人 Y はそのお姉さんにしつこく尋ねました。
「ねえ、貴女が恋人と(恋人と、っていうとこがええわね)この町でお食事するとしたらどのレストランに行くの?」
いやあ、ええ質問やなあ、ジモッチィに聞くのが一番やさかいね、と横で聞いてたらそのお姉さんあっさり返してくれました。
「どこにも行かない。ここは観光客の町だから」
一同大笑い。そうか、非日常の観光客いっぱいの町で日常の一般人が食べるような日常的レストランはないっつうことやね。でもおいしかったよ。
筆者うんちく注)
* Mon Coeur s’ouvre a ta voix アクサンが変換できなくてすんません。
わたしの心が貴方の声を思い出させる=直訳したらそーやな。
デリラ(イギリス人はダライアってはっちょんするの!)がサムソンを誘惑するときに歌ううたなんだわ、これが。メゾソプラノの人が歌う方が美しい、と思うとってもサンサーンス的な(?)アリアです。
**実はこれらの曲名例は RIGOLETTO というオペラの中のアリアなんです。
慕わしい人の名は(ジルダ)/いつも日曜に教会で(ジルダ)/あれかこれか(マントヴァ公爵)/ほほの涙が(マントヴァ公爵)/風の中の羽のように(マントヴァ公爵)/二人は同じ(リゴレット)/悪魔め、鬼め(リゴレット)
今回ヴェローナで観たのは、ラ・トラヴィアータ(椿姫)と リゴレット でした。2行あらすじ。
<ラ・トラヴィアータ>
高級娼婦が若いかたぎのおにいちゃんに恋をして身分違い、と父親に反対され、彼のために別れるため、うその演技をして結局病いで死んでしまうという、この手のストーリーはオペラに多いです。
<リゴレット>
道化のリゴレットが美しい自分の娘を隠していたのを、ご主人様の公爵に恋されちゃう。それを恨んでご主人様を殺そうとしたのに、間違って自分の娘を殺されてしまうという悲劇。
オペラは絶対に主人公が「美男・美女」。そう考えるとオペラ歌手ってたいへんね。
求む、容姿端麗、美声、演技力必要。
オペラのキーワード: 身分違い、親の反対、うそも方便、悲劇的結末、死んでいっしょになる
なんか、浄瑠璃みたいですなあ。
2004年11月11日
© Mizuho Kubo , All rights reserved…..November 2004
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