(archive) 番外編 フィヨルドとノルウェイの森
村上春樹じゃないんですけど。
フィヨルドに行きたい!という友人の希望で6月のある週末オスロからフィヨルド観光しました。フィヨルドとは氷河からできています。約100万年前に氷河で覆われていた地が徐々に動きながら川床をけずり、断崖絶壁の深い渓谷をつくりあげたのです。氷河期が終わって、掘られたところに海水が入り込み、今のようなフィヨルドが見られるといいます。湖のような、うみ、と渓谷と森と滝の流れ。これやね。
一日目、オスロに着いて、ゆっくりとムンク美術館観光。北欧らしく館内はモダンな感じ。天気が良くて、テラスにはりだしたカフェレストランの外のテーブルでお茶しているひとたちも。ムンクの作品が並べられ、中のホールでは、偶然、地元の子供たちの演奏会があったようで、バイオリンやピアノの音が聞こえていました。
翌日は朝8時の列車にのり、いざフィヨルドコースへ。
とってもオーソドックスな観光コース。
でも、列車あり、船あり、バスありのバラエティに富んだ景観コース。オスロを出てしばらくは単調な景色、とガイドブックにあったが、みどりの森林の中を往く車窓からの景色はなかなか。2時間ほどしてノルウェーの最高地点、フィンセを超えたところあたりから景色は「氷河」風になります。ここは、スターウォーズII のロケ地にもなったというところです。山の上には、というかそこらへんに雪の残骸がまだ白く残って緑の草原と二層の夏色コンビネーションをなしています。ミルダルで列車を降り、そこからフラム鉄道という急勾配を行く列車に乗り換え。これは小さなおもちゃのような列車かとなぜか思い、ぞくぞくしていたのに、ふつうのけっこう大きい列車。
わたしたちはオスロから行ったので、標高の高いところからボートにのる湖面レベルの低いフラムまで、1200メートルほどを30分ほどで降りるかたちになりますが、ここのハイライトは終点近くにある落差93メートル「ヒョースの滝」。
右手にまるで台風のあとに氾濫した川が高度をつけ、あふれ落ちてくるような(あましうまい表現ではないが)、滝を間近に見ることができます。もちろん、この滝のために、お客様の写真休憩のために列車は止まり乗客はみな降りてカメラをパシパシ!カチャカチャ。
なんと、突然、音楽が聞こえてきて、なんと、滝の上方、城壁の岩の上で、赤い女性が踊っている!?赤いジプシー風のドレスに身を包んだ女性が音楽にあわせダンスをしているのです。
友人いわく、あのひとがあとから列車に乗り込んできて、「お駄賃」をせがみにくるんではないか?いや、それより、このプラットフォームの上のこの乗客たちに仲間が帽子さかさに持って、お金頂戴と回ってくるんでは???なんちゃって想像していたのですが。
きませんでした。
きたらおもろかったのにい。
「船がでるぞう」ではなく、ピーっという車掌さんの合図とともに列車がでました。アナウンスでは滝のところで5分停車、と言っていたが、ゆうに5分以上は止まっていましたなあ。
だんだんと地面が低くなり、山が遠くなり、湖面に近づくとそこはフラムです。ここからフェリーボートに乗ります。一大観光拠点みたいになっていて、カフェ、ホテル、観光局、チケット売り場、おみやげ物屋などがあります。オスロからフラムまでの列車のチケットしか事前に購入していなかったわたしたちですが、ここで、次のフラムからグドヴァンゲンへのフェリーボートの切符とグドヴァンゲンからヴォスへのバスの切符、ヴォスからベルゲンへの列車の切符がすべて買えました。
ハイキング気分でフェリーボートへ。ここから有名なソグネフィヨルドから枝わかれしたかたちになっている、アウランフィヨルドとナールオイフィヨルドの二つの川の支線のようなフィヨルドの湖面を水レベルから観光します。
空気はちと肌寒いが、とってもいい天気。湖面のマリンブルーと山の緑と上方の雪色と緑の木々。ゆるゆるとボートはひととくるまを乗せ、湖面をすべるように渡っていきます。途中、フィヨルドや、岸にある小さな村々の解説あり。アナウンスはなんとノルウェイ語、英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、5つめくらいにおお、でたぞ、やっぱり日本語、韓国語(あとはわからん、何語か)。インタナショナルやんか。しかし、この日本語は筆者のイタリア語レベルより理解しがたいぞ、という部分もあったのですが、まあいいか。
オスロから列車に乗ったひとはみなフラム鉄道に乗り、フラム鉄道に乗ったひとはみなこのフェリーボートに乗り、フェリーボートに乗ったひとはみな、グドバンゲンまで行ってそこからバスに乗ります。バスはちゃんとボートと接続していて、は~いこちらですよ。
あと10分でバスはでまっせえ。あせらなくても、みんな乗るんだから。
急勾配の山道(細いし、高度が結構あって渓谷の滝とか見ながら行くんですが、けっこうこっちの方がフラム鉄道より、こわかった。バスの窓から下を見るとぐわぁ~ん、まっさかさまに落ちてしまいそうな崖)を一気に登って、途中、シュタルハムホテルの裏庭のテラスでフィヨルド景観見学のための休憩時間までつき。そ、結局、上がったり降りたり、降りたり上がったり、してるのよね。
この山道でも滝がいくつも見られます。
フィヨルドの滝は、春になると、雪解けの水が、けっこう断崖絶壁のフィヨルドの上から流れ落ちるときに発生します。しかして、夏がすぎ、秋になると枯れてしまうそうです。
細い筋がいくつにも白糸の滝のように流れているのを、フェリーボートから眺められます。大きな滝では写真休憩のように、ボートごと近づいてくれるのです。ほんまに至れり尽せり。
さあ、ヴォスに着いて、ここからまた列車に乗り換え、あとはベルゲンに到着するのみ。観光ももう終わりかな、と思いきや、なんのなんの。ここからベルゲンまでまた列車ですが、湖のはたを通っていくので、またもや景色をみながらフィヨルド観光できます。ボートで通ったフィヨルドの水の色とまたちょっと違うような気がする。緑豊かな森の木々の姿が湖面に反映して色の二重奏。みずの深さの違いかなあ。
なにがフィヨルドって言われるとむつかしいけど、カンタンに言えば、ノルウェー全部フィヨルド!ノルウェーって、フィヨルドからできてんの。時間があればフィヨルドの丘のハイキングコースを歩けたりするんですけどね。それもまたいいかも。上から下から、数レベル見方を変えて観光も可。
ベルゲンは小さなかわいい観光港。ここまで来ると海の潮の匂いがします。今までは内陸を渡ってきたからね。港沿いにブリッゲンと言って、壁のように木造家屋が並んでいる地区があり、世界遺産です。木のため、何度も火災で損傷したとか。みやげもの屋やレストランの並びになっています。
町を一望に臨めるフロイエン山にはケーブルカーで行けます。けっこう、高さ行くんです。これが。頂上には展望台、ホテル、おみやげもの屋などがあり、世界各地からの観光客で賑わっています。足に自信のあるひとは海レベルからここまでハイキングがてら歩くのも一興かも。もしくは上りはケーブルカーで、下りだけ歩くっつうんでもいいかも。軟弱なわたしたちは往復ケーブっちゃった*。 高台から見る夕闇に染まる景観はさぞ、うつくしいだろうと思うけど。。。
日が暮れないのよ。
夏至の一週間前。そうでなくてもヨーロッパは日が長い。
ベルゲンの日没はなんと12時前。夜中の、ですよ。
12時にもうなろうとしているのに、空はしらじら、明るい。夕方の5時くらいの雰囲気。この国のひとは寝ないのだろうか。朝は3時頃から明るいし。
この明るいけど、白っぽく、うすくらい、墨を流したような、空とフィヨルドの折り重なる景色はどっかで見たような気がする。
そう、ムンクの世界だわ。
森の中を列車で走っていたときは、霞の向こうに東山魁夷の絵があると思った。
でも、やっぱり、ムンクだろう。
両親二人から受け継いだ持病を気にして、常に死を恐れていた彼の内面が自分の生まれた土地の自然といっしょになって、そのまま絵になっている。フィヨルド観光に来たら、やっぱり、北欧を理解するためにも、ムンク美術館にもぜひ足をお運びください。
食はぜんぜん期待していなかったのですが、やはり海の国。甘エビ。ううぅ。おいしかったあぁ。頭もたまごもついてるのをしゃぶる!マヨネーズとレモンとパンがついてくる。これ甘い。オスロの港の観光的カフェのパラソルの下でむしゃぶるように食べました。テーブルの上に殻がボールに山のように捨て置かれているのが、えび!
しかし、食べているところをじーっとみられている気がする。そんなにアジアちっくなわたしたちが珍しいかね?ともだちNいわく、わたしがエビの頭をチューチューとすするように食べているのが、珍しいのでは。そういえば、こちらのひとはたまごもすすらず、殻といっしょに残してあります、もったいな~い。
サーモンはイギリスにもあるので、まあ、あまり特筆しませんが、あとは鯨!
給食にくじらのカツが出た世代ですから(だめよ、年を計算しちゃ)なつかしいんですね。世界で、日本人とノルウェー人だけかな、くじらを食すのは。捕鯨禁止で、えらあ、高くなって、日本でも貴重品だと思いますが、めずらしもの好きの筆者としては食べずにおらりょうかってね(何語や、これ?上方語?)。
ベルゲンの日本食レストランに行けば食べれるかもよ、と言われましたが、ローカルのふつうのレストランで食べました。くじらの燻製、とか、ステーキがある。しかしわたしの連れNは若いので(!)「ええ、くじら食べちゃうんですかあ、かわいそう~」なんて涙目で訴えるように言うものでちょっとギルティ。*
しかし物価は高い!ロンドンもええ加減高いけど、それ以上。ワインはとても飲めませんでした。高くて。寒い国なので、ワインは期待していなかったけど、飲む気もしない。けっこう、いける口の地ビールを飲んでいましたが、これも高い。それでも飲むわたし。
いわゆる消費税のようなものが24%もつくのです。レストランも24%。食料品でも12%(イギリスはVAT と呼ばれ17.5%、日用品や食料品にはつかない)。内税になっているので抵抗はないが、ほとんど4分の1の税金を払っていることになります。さすが社会福祉先進国???観光客からとるなよ。
港の魚市場にうなぎの燻製やら、魚やら、甘エビ、キャビアの類がいっぱい出てました。さつまあげのようなものがあると聞いてさがしました。フィッシュケーキと言っていましたが、さつまあげ、というより、はんぺんか、かまぼこのようで、ひとつ食べてみました。懐かしい味です。やっぱり食べ物で終わってしまいますね。
筆者注)湖、湖面、と言っていますが、湖ではなく、フィヨルドの水は海水です。ただ氷河に削られて奥地に入るにつれ、薄められ、塩分が少なくなっているので、潮っぽくありません。実際に、ベルゲンの港に着くまで、これが海の水だったんだとわかりませんでした。海面というより、湖、川の流れという様相だったので、イメージで湖面にしました。
*ケーブルカーでいっちゃったという、筆者の造語です。流行るかなん?
*ギルティ 罪の意識を感じる、という意味です。
<巻末特別付録> フィヨルド観光モデルコース早見表
オスロ ⇒ ( 列車 約4時間 ) ⇒ ミルダル
ミルダル ⇒ ( フロム鉄道** 約50分 ) ⇒ フロム
フロム → ( フェリーボート** 約2時間 ) → グドヴァンゲン
グドヴァンゲン ---→ ( バス** 約1時間 ) ---→ ヴォス
ヴォス ⇒ ( 列車 約1時間半 ) ⇒ ベルゲン
**いずれも滝見学つき
2003年7月4日
© Mizuho Kubo , All rights reserved…..July 2003
フィヨルドに行きたい!という友人の希望で6月のある週末オスロからフィヨルド観光しました。フィヨルドとは氷河からできています。約100万年前に氷河で覆われていた地が徐々に動きながら川床をけずり、断崖絶壁の深い渓谷をつくりあげたのです。氷河期が終わって、掘られたところに海水が入り込み、今のようなフィヨルドが見られるといいます。湖のような、うみ、と渓谷と森と滝の流れ。これやね。
一日目、オスロに着いて、ゆっくりとムンク美術館観光。北欧らしく館内はモダンな感じ。天気が良くて、テラスにはりだしたカフェレストランの外のテーブルでお茶しているひとたちも。ムンクの作品が並べられ、中のホールでは、偶然、地元の子供たちの演奏会があったようで、バイオリンやピアノの音が聞こえていました。
翌日は朝8時の列車にのり、いざフィヨルドコースへ。
とってもオーソドックスな観光コース。
でも、列車あり、船あり、バスありのバラエティに富んだ景観コース。オスロを出てしばらくは単調な景色、とガイドブックにあったが、みどりの森林の中を往く車窓からの景色はなかなか。2時間ほどしてノルウェーの最高地点、フィンセを超えたところあたりから景色は「氷河」風になります。ここは、スターウォーズII のロケ地にもなったというところです。山の上には、というかそこらへんに雪の残骸がまだ白く残って緑の草原と二層の夏色コンビネーションをなしています。ミルダルで列車を降り、そこからフラム鉄道という急勾配を行く列車に乗り換え。これは小さなおもちゃのような列車かとなぜか思い、ぞくぞくしていたのに、ふつうのけっこう大きい列車。
わたしたちはオスロから行ったので、標高の高いところからボートにのる湖面レベルの低いフラムまで、1200メートルほどを30分ほどで降りるかたちになりますが、ここのハイライトは終点近くにある落差93メートル「ヒョースの滝」。
右手にまるで台風のあとに氾濫した川が高度をつけ、あふれ落ちてくるような(あましうまい表現ではないが)、滝を間近に見ることができます。もちろん、この滝のために、お客様の写真休憩のために列車は止まり乗客はみな降りてカメラをパシパシ!カチャカチャ。
なんと、突然、音楽が聞こえてきて、なんと、滝の上方、城壁の岩の上で、赤い女性が踊っている!?赤いジプシー風のドレスに身を包んだ女性が音楽にあわせダンスをしているのです。
友人いわく、あのひとがあとから列車に乗り込んできて、「お駄賃」をせがみにくるんではないか?いや、それより、このプラットフォームの上のこの乗客たちに仲間が帽子さかさに持って、お金頂戴と回ってくるんでは???なんちゃって想像していたのですが。
きませんでした。
きたらおもろかったのにい。
「船がでるぞう」ではなく、ピーっという車掌さんの合図とともに列車がでました。アナウンスでは滝のところで5分停車、と言っていたが、ゆうに5分以上は止まっていましたなあ。
だんだんと地面が低くなり、山が遠くなり、湖面に近づくとそこはフラムです。ここからフェリーボートに乗ります。一大観光拠点みたいになっていて、カフェ、ホテル、観光局、チケット売り場、おみやげ物屋などがあります。オスロからフラムまでの列車のチケットしか事前に購入していなかったわたしたちですが、ここで、次のフラムからグドヴァンゲンへのフェリーボートの切符とグドヴァンゲンからヴォスへのバスの切符、ヴォスからベルゲンへの列車の切符がすべて買えました。
ハイキング気分でフェリーボートへ。ここから有名なソグネフィヨルドから枝わかれしたかたちになっている、アウランフィヨルドとナールオイフィヨルドの二つの川の支線のようなフィヨルドの湖面を水レベルから観光します。
空気はちと肌寒いが、とってもいい天気。湖面のマリンブルーと山の緑と上方の雪色と緑の木々。ゆるゆるとボートはひととくるまを乗せ、湖面をすべるように渡っていきます。途中、フィヨルドや、岸にある小さな村々の解説あり。アナウンスはなんとノルウェイ語、英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、5つめくらいにおお、でたぞ、やっぱり日本語、韓国語(あとはわからん、何語か)。インタナショナルやんか。しかし、この日本語は筆者のイタリア語レベルより理解しがたいぞ、という部分もあったのですが、まあいいか。
オスロから列車に乗ったひとはみなフラム鉄道に乗り、フラム鉄道に乗ったひとはみなこのフェリーボートに乗り、フェリーボートに乗ったひとはみな、グドバンゲンまで行ってそこからバスに乗ります。バスはちゃんとボートと接続していて、は~いこちらですよ。
あと10分でバスはでまっせえ。あせらなくても、みんな乗るんだから。
急勾配の山道(細いし、高度が結構あって渓谷の滝とか見ながら行くんですが、けっこうこっちの方がフラム鉄道より、こわかった。バスの窓から下を見るとぐわぁ~ん、まっさかさまに落ちてしまいそうな崖)を一気に登って、途中、シュタルハムホテルの裏庭のテラスでフィヨルド景観見学のための休憩時間までつき。そ、結局、上がったり降りたり、降りたり上がったり、してるのよね。
この山道でも滝がいくつも見られます。
フィヨルドの滝は、春になると、雪解けの水が、けっこう断崖絶壁のフィヨルドの上から流れ落ちるときに発生します。しかして、夏がすぎ、秋になると枯れてしまうそうです。
細い筋がいくつにも白糸の滝のように流れているのを、フェリーボートから眺められます。大きな滝では写真休憩のように、ボートごと近づいてくれるのです。ほんまに至れり尽せり。
さあ、ヴォスに着いて、ここからまた列車に乗り換え、あとはベルゲンに到着するのみ。観光ももう終わりかな、と思いきや、なんのなんの。ここからベルゲンまでまた列車ですが、湖のはたを通っていくので、またもや景色をみながらフィヨルド観光できます。ボートで通ったフィヨルドの水の色とまたちょっと違うような気がする。緑豊かな森の木々の姿が湖面に反映して色の二重奏。みずの深さの違いかなあ。
なにがフィヨルドって言われるとむつかしいけど、カンタンに言えば、ノルウェー全部フィヨルド!ノルウェーって、フィヨルドからできてんの。時間があればフィヨルドの丘のハイキングコースを歩けたりするんですけどね。それもまたいいかも。上から下から、数レベル見方を変えて観光も可。
ベルゲンは小さなかわいい観光港。ここまで来ると海の潮の匂いがします。今までは内陸を渡ってきたからね。港沿いにブリッゲンと言って、壁のように木造家屋が並んでいる地区があり、世界遺産です。木のため、何度も火災で損傷したとか。みやげもの屋やレストランの並びになっています。
町を一望に臨めるフロイエン山にはケーブルカーで行けます。けっこう、高さ行くんです。これが。頂上には展望台、ホテル、おみやげもの屋などがあり、世界各地からの観光客で賑わっています。足に自信のあるひとは海レベルからここまでハイキングがてら歩くのも一興かも。もしくは上りはケーブルカーで、下りだけ歩くっつうんでもいいかも。軟弱なわたしたちは往復ケーブっちゃった*。 高台から見る夕闇に染まる景観はさぞ、うつくしいだろうと思うけど。。。
日が暮れないのよ。
夏至の一週間前。そうでなくてもヨーロッパは日が長い。
ベルゲンの日没はなんと12時前。夜中の、ですよ。
12時にもうなろうとしているのに、空はしらじら、明るい。夕方の5時くらいの雰囲気。この国のひとは寝ないのだろうか。朝は3時頃から明るいし。
この明るいけど、白っぽく、うすくらい、墨を流したような、空とフィヨルドの折り重なる景色はどっかで見たような気がする。
そう、ムンクの世界だわ。
森の中を列車で走っていたときは、霞の向こうに東山魁夷の絵があると思った。
でも、やっぱり、ムンクだろう。
両親二人から受け継いだ持病を気にして、常に死を恐れていた彼の内面が自分の生まれた土地の自然といっしょになって、そのまま絵になっている。フィヨルド観光に来たら、やっぱり、北欧を理解するためにも、ムンク美術館にもぜひ足をお運びください。
食はぜんぜん期待していなかったのですが、やはり海の国。甘エビ。ううぅ。おいしかったあぁ。頭もたまごもついてるのをしゃぶる!マヨネーズとレモンとパンがついてくる。これ甘い。オスロの港の観光的カフェのパラソルの下でむしゃぶるように食べました。テーブルの上に殻がボールに山のように捨て置かれているのが、えび!
しかし、食べているところをじーっとみられている気がする。そんなにアジアちっくなわたしたちが珍しいかね?ともだちNいわく、わたしがエビの頭をチューチューとすするように食べているのが、珍しいのでは。そういえば、こちらのひとはたまごもすすらず、殻といっしょに残してあります、もったいな~い。
サーモンはイギリスにもあるので、まあ、あまり特筆しませんが、あとは鯨!
給食にくじらのカツが出た世代ですから(だめよ、年を計算しちゃ)なつかしいんですね。世界で、日本人とノルウェー人だけかな、くじらを食すのは。捕鯨禁止で、えらあ、高くなって、日本でも貴重品だと思いますが、めずらしもの好きの筆者としては食べずにおらりょうかってね(何語や、これ?上方語?)。
ベルゲンの日本食レストランに行けば食べれるかもよ、と言われましたが、ローカルのふつうのレストランで食べました。くじらの燻製、とか、ステーキがある。しかしわたしの連れNは若いので(!)「ええ、くじら食べちゃうんですかあ、かわいそう~」なんて涙目で訴えるように言うものでちょっとギルティ。*
しかし物価は高い!ロンドンもええ加減高いけど、それ以上。ワインはとても飲めませんでした。高くて。寒い国なので、ワインは期待していなかったけど、飲む気もしない。けっこう、いける口の地ビールを飲んでいましたが、これも高い。それでも飲むわたし。
いわゆる消費税のようなものが24%もつくのです。レストランも24%。食料品でも12%(イギリスはVAT と呼ばれ17.5%、日用品や食料品にはつかない)。内税になっているので抵抗はないが、ほとんど4分の1の税金を払っていることになります。さすが社会福祉先進国???観光客からとるなよ。
港の魚市場にうなぎの燻製やら、魚やら、甘エビ、キャビアの類がいっぱい出てました。さつまあげのようなものがあると聞いてさがしました。フィッシュケーキと言っていましたが、さつまあげ、というより、はんぺんか、かまぼこのようで、ひとつ食べてみました。懐かしい味です。やっぱり食べ物で終わってしまいますね。
筆者注)湖、湖面、と言っていますが、湖ではなく、フィヨルドの水は海水です。ただ氷河に削られて奥地に入るにつれ、薄められ、塩分が少なくなっているので、潮っぽくありません。実際に、ベルゲンの港に着くまで、これが海の水だったんだとわかりませんでした。海面というより、湖、川の流れという様相だったので、イメージで湖面にしました。
*ケーブルカーでいっちゃったという、筆者の造語です。流行るかなん?
*ギルティ 罪の意識を感じる、という意味です。
<巻末特別付録> フィヨルド観光モデルコース早見表
オスロ ⇒ ( 列車 約4時間 ) ⇒ ミルダル
ミルダル ⇒ ( フロム鉄道** 約50分 ) ⇒ フロム
フロム → ( フェリーボート** 約2時間 ) → グドヴァンゲン
グドヴァンゲン ---→ ( バス** 約1時間 ) ---→ ヴォス
ヴォス ⇒ ( 列車 約1時間半 ) ⇒ ベルゲン
**いずれも滝見学つき
2003年7月4日
© Mizuho Kubo , All rights reserved…..July 2003
大変参考になりました!モデルコースはもちろんのこと、甘えび(ちゅうちゅうする時はまわりに注意ね)、ムンク、アルコールの値段のこと、すべて。はぁ、早く行きたいな~。
返信削除淳さん、ありがとう。こんな昔の誰も見ないかしらん。。。でも、ぜひクルーズで2010年に行ってくださいね。
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