58 日本の夏・緊張(キンチョー)の夏


 10年ぶりの日本の夏!こらもう、暑かったわい。暑いというか、朝から蒸風呂サウナの中にいる状態。でも、祇園祭りに天神さん、(京都の)大文字焼き、(奈良の)* 燈花会、(地元の)花火大会、盆踊り、卒業以来の小学校の同窓会、と行事は満載。
 日本にほぼ一年に一度くらいは帰国していますが、仕事の関係上、今まで夏に帰るなんてことがなかったのです。春先か、休みの取りやすい年末とか。だから幸か不幸か今回の夏の帰国はイギリスの涼しい夏に慣れた体にはとってもびっくり。日本の夏ってこんなんやったんやぁ。夜はカエルの合唱で子守唄、朝はセミのめざまし時計のような大音響でたたき起こされるという毎日。セミって、ミーン、ミーンという鳴き声だけやないで。ジジジジジぃ~もしくはビンビンビン、ってのも。イギリスにはセミとゴキブリはいない、というとびっくりされました。蚊には敵(かたき)のようにあしから腕から刺されるし、蚊取り線香で焚き出し、お香(こう)代わりにしておりましたの。おほほ(はは)
 しかし蒸し暑さよりもセミの大合唱よりも今回の逆カルチャーショックは日本語。10年のイギリス暮らしで日本語が後退したのか?もともとなのか?英語が母国語となってしまったのか(そんなことあらへん)?自分でもあきれた醜態の数々。恥を恥じとも思わず公開してしまいましょう。


1)スーパーで
 いらっしゃいませ、に続く言葉はほとんど社交辞令と聞き流していたので大失敗。
 何を聞かれても「はい、はい」とうろ返事をしてたら、何度も聞かれて終わりそうにない。よくよく聞いてみると
 「会員カードはお持ちですか?」
 わたしが「はい」と言っておきながら出そうとしないので不審がられていたのでありました。
 これを言うと友人にロンドンのスーパーにはそういうのないの?ときかれました。はい、ございます。テスコとセーンズベリはカード持ってます。やのに日本では使ってないから関係ないと聞こうともしてなかったのです。なんでやろ?=単にひとの言うこと聞いてへんだけや、という声も。


2)○○はおつけしますか?
 これもスーパーが多いですが、日ごろより地球環境理由で(えっらそうな)むだなお箸やスプーンは断る習慣をつけているエコわたし。
 あるパン屋さんのレジで店員さんのことばが理解できなかったので「え? 今なんとおっしゃいました?」と思わず聞き返してしまったのです。
「おしぼり おつけしますか?」
「(おしぼり、だったのね)ああ、いりません」
 サンドイッチを買ったのでそう聞かれたようでした。
 いろんなもんがついてくるんやな、日本て。
 (お弁当の)お箸、いりません、(デザート類の)スプーン、いりません、を繰り返してたら、暑い日中にアイスクリームを買って持って帰るつもりだったのに、ドライアイスをおつけしますか、に「いりません」と反応してしまい、大後悔。冷や汗もんや。


3)読み違い、おお勘違い
 夏はうなぎだ!
 うなぎの ひつまぶし ⇒ ひまつぶし
 言うとみなさん、よくある、わたしもやる、ということでした。
 私鉄電車の駅の構内広告。小学生あてに作文募集の広告でした。
 わたしとみんてつ ⇒ たわしとあんみつ
 よっぽど甘いもののこと、考えてたんやろね。しかしへんな組合せと思わんかったんか。


4)テレビがうざい
 コントものやバラエティーショーで、出演者やらがしゃべる言葉をいちいちテロップ(?っていうんですか)で画面にでてくる。字幕のように、また、言うひとによって色を変えてでてくるのがなんともうざったい。言うだけでなく、下に言葉を入れて視覚に訴える方がインパクトが大きいんかね?日本語って視覚文化だったのね?読み仮名までついてるで。


 ドラマを見てたら会話がすべていちいち下にでてくるので、うざったいわあ、なんとか

                           じまく        ひつよう          ちくいちがめん とうじょう  みみ き
ならんかね、ここまで字幕のように必要かね?逐一画面に登場する。耳で聞いたことを
    がめん  もじ   かくにん                                   いか               じまく
た画面で文字で確認せなあかんのか?とひとりで怒っていたら、「字幕」ボタンがオンになっていたからだった(笑)。リモコンてすごい?


5)テレビがおもろい
 とはいえ、やはり、チャンネル数がイギリスの3倍以上あり、朝から晩まで芸能ニュースを満載しているテレビっていうメディアはすごいですなあ。セレブのだれとだれの動向が、どうのこうのっていうのが、1週間テレビ見てるとすべて把握できるようになりました。自慢するこっちゃないか。
 で、あんなにテレビ三昧の毎日だったのにロンドンに帰ってきて、あのすごい日本の番組群がなくてもなんともない。月曜日はこれ、見て、火曜日はこれ、、、なんていう毎日の日課となった続きもの番組も、しらっと忘れています。はしかのように一過性のものなのか。。。一過性の使い捨て文化なのか。流行っては廃れる文化なのね。もしくはわたしにすっごい順応性があるのね(?)


<著者注>
 燈花会・とうかえ、と読みます。10年ほど前から始まったようですが、奈良公園周辺のお寺など歴史的建造物やそこへ行くまでの通り、川辺、池の傍にろうそくの灯をともし、夏の夜を幻想的に演出しています。さながら灯りの花が咲いているよう。お盆のころって、季節柄いろんな行事があってそれが昔からある宗教的行事に基づいているものが多いんだなって感じた次第。

2007年9月7日                  
© Mizuho Kubo , All rights reserved…..September, 2007


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