54 イギリス英語・日本語との比較・直接あるいは婉曲表現

 英語は日本語に比べ簡潔・直接的だと思っていましたが、けっこうあいまいな婉曲表現もあります。訳は最後。


 例1>Smoking may activate the sprinkler.


 あるレストランのトイレ。あ、いきなり下ネタでごめんください。
 ふつうは NON SMOKING で禁煙を促します。しかし、このとある女性用トイレで見つけたサインはこうきました。may だし。activate は他動詞ですので、タバコ吸うことによって、スプリンクラーを作動させることになりまっせ、ということです。こう書いてあったらまさにスモーキングは控えるでしょう。そう、「お控えください」っていうニュアンスよりは強いような気もします。暗に単刀直入に、ってやつですか?


 例2>タバコは健康に悪いですよ。


その1)Thank you for not smoking.
 やめてほしいのはわかるが、お礼いっちゃうんだから。だめよ、じゃなく、はじめに感謝しといて世の中まるくおさめるんだな。そういえば銀行の窓口とか、スーパーでも。このごろ長い列のあと、やれやれやっと自分の番だ、と窓口に立つと、Thank you for waiting. と言ってくれるスタッフがいます。日本式だと「お待たせいたしまして申し訳ございません」。ですが英語だと「待ってくれててありがとう」

その2)Smoking kills
 たばこの箱の外装にも Smoking kills とばっちり書いてある。日本の「禁煙にご協力ください」だの「健康のため吸い過ぎに注意しましょう」なんてあまっちょろいものじゃあない。殺されるのよ、あなた。
 TV のコマーシャルでは、「タバコ吸うとこういう弊害が起こりますよ」って、暗に単刀直入に いん○てん○?を示唆していますね。だあったら、売らなきゃいいのにね。でも公に売るものを作らないとドラッグ(麻薬)系の暗闇うら取引を促進しちゃうんかなあ。もしかして。


例3>Please consider others when eating.
 地下鉄の中のプラットフォームで見つけました。そう、車内で飲み食いしているひとがけっこう多いのよねえ。ハンバーガーに堂々とくらいついてるし、チップス(ポテトフライ)ってけっこう匂う (smelly) のよね。全部が全部イギリス人じゃないかもしらんけど、イギリスの食生活をあらわにしておりますな。ランチタイム20分、電車の中、バスの車内ですませる、っていう。
 でもね、もう食べてるんだから遅いって!はっきり「食べてくださるな」って言う方が早いと思うんだけど。だって、どうやって、他人を思ひ憚(はばか)るんよ?食べながら。ぷんぷん、いい?においさせながら。空腹時はこれ、地獄でっせ。
 目撃。ハンバーガーじゃなくって、この前、ほんとに自前のお昼ごはん、ランチボックス広げて食べてるひと、いました。まあ、いやなにおいじゃないといいってことでも。。。。ないよなあ。ついでに言うと*チップスの油とヴィネガーのにおい、ってけっこう遠近10メートル離れたくらいでもわかるんですな。
  目撃。ロシアのスパイで有名になった某回転すしレストランのランチ寿司ボックスを広げてるひと、いました。ほれほれ、しょうゆがこぼれんでぇ、箱から。人事ながら気になるわたし。思わず思いついたことをネタにしようとメモ取るわたし。しかし、このひと、寿司食うくらいやから実は日本語ばりばりやって、わたしのメモなど読めたらどないしょう。


例4>ごみ置き場でないところにごみを置くひとが多いようです。
 Please respect this area, please put your rubbish in a bin at England Lane.

 だからね、この前はごみ置場じゃなくて、ひとが住んでる住宅地区なの。で、ごみは固めて置くところが指定してあるんだわ。あなたはね、そら、置いて帰ればしまい、だろうけど、ここに住んでるものの身にもなってみてね。ごみは袋に入れて、指定のごみ置場の箱にちゃんときちっと置くように。
 イギリス英語では rubbish がゴミです。


例5>白髪染め
This keeps your hair great until your roots grow back again!
 
 そらそうやろ。生え際に新しい白髪が生えてくるとまた染め直しということですね。このごろはすぐに色が落ちるようなのが自然でいいみたい。ひとつきに一回は必要でしょうね。しかし、日本製のはほんと、いいわ。ローとか、ガーとか西洋メーカーでも日本で売ってると違う気がする。本家はこっちで、買えるのに、わざわざ日本に帰ったときに日本製を買いだめするのはなぜ?
 あいまいでもなんでもなくて、そのまま。あたりまえ。


  最後はうつくしく>典型的ビジネス例文。


 If you can help me, it would be much appreciated.


 もし万が一にも貴殿がわたくしを幇助していただけるのでしたら、その状況はとっても幸いにもありがたいことでござりまする。 


<究極の関西弁訳・かなりの意訳・イントネーションが伝わらないのが残念でございます>


1>タバコに火をつけると多分、消火栓が開きまっせ。
2>禁煙に協力してくれたらありがたいわ。
  =あんた、たばこで死にとうないやろ?
3>食べんのはええけど、ほかのひとのことも考えてや(ええ加減にしてや)。
4> ごみ置場はね、England Lane ってとこにあるんやで(ここに置かれると、前に住んでるわたしが迷惑するんやわ)、たのむわ〜。
5>次の白髪が生えてきたらそら、またこれ、買ってもらわな。それまではこの白髪染めは貴女の髪を黒く保ちまっせ。当たり前やけど。


 注の注> *チップス
 おさらいですが、イギリスではチップス=日本で言うところのポテトフライのこと。フレンチフライとか、フライズとも言いますが。
例:フィッシュアンド&チップス 
  イギリス版魚のてんぷらに揚げたポテトがついてきます
  日本でいうチップスはイギリスではクリスプス(複数)と呼びます。


2007年1月3日          ☆くぼみずほ☆
© Mizuho Kubo , All rights reserved…..January, 2007

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