35 日本もおしゃべり

前回のエッセイ(34 ロンドナーはおしゃべりか?で、ロンドナーはおしゃべりか、と書きましたが日本もおしゃべりなことに気が付きましたのでご報告させていただきます。
日本に帰ると気が付くことがあります。「日本人」がおしゃべりなわけないの。「日本」がおしゃべりなんですのよ。おしゃべり、というか、音(ことば、会話ではありません)やアナウンスが多い。不必要な騒音(としかわたしには感じられない)が多すぎる。
*映画「Lost in Translation」(邦題しらん。まだ日本では入っておりませんでしょうか)にも指摘されていたように日本って、ほんと音声多重国。駅のアナウンス、車内のアナウンスは言うに及ばす。
車がバックするとき。「バックします。ぴこぴこ、バックします。ぴこぴこ」
これは、安全性のことを考えると許せるけど。
ジムやフィットネスの自転車こぎ。「速度早くします」
エレベータ(イギリスではリフトという)。「下にまいります。上にまいります。4階です。ドアが開きます。ドアが閉まります。ドアにご注意ください」
ま、これ、ロンドンにも物言うリフトがあるところもあります。
Going up….Going down…First floor. 直訳。
現金引出機(ATM)「いらっしゃいませ」あんたにいらっしゃいませ、言われてもなあ。
「ご希望のボタンを押してください」言われんでもするがな。
「お取り忘れにご注意ください」だから今取るってば。ひとがやろうとしてるのに先に言われるといやなのよ、わたし。
「お忘れ物がございます」なくっても言うみたいなの、このフレーズ。そんなこと言われたら思わず、ええ?ってのぞきこんだりね。その音量もまたすごい。別に今、わたしは現金を引き出しているんでっせ、と四方300メートル以内のひとたちに知らしめる必要はないんでございますが。
英語の音声っつうのもあって、外国観光客の方々用に、あるみたいです。海外発行のカードでも引き出せる。みごとにアメリカ英語で、「ぷりぃず、えんたあ、ゆあぴんなんばああー」って感じかな。R が必要以上に巻き舌なの。こちらのスイッチカードから引き出しをするのに「海外発行のカード」っていうところに行ったらいきなり英語のアナウンスが大音声で出て、ちよっと、恥ずかしかったです。このひと、なにじん?って後ろのひとに思われたりして。何回かの試行錯誤のすえ、なんとか「海外発行」でも日本語でアナウンスされるところを見つけ出して、ほっとしています。
モノレールの駅のトイレ。うちの近所にあるんですが、きれいで最近は洋式トイレも増え(昔は和式しかなかった、ごめんね、へんなところこまごまと描写して)喜んでおります。が、戸口のところで「こちら女子トイレです」「こちら男子トイレです」が交互に何秒か間隔でアナウンスされるのです。
「こちら女子トイレです」「こちら男子トイレです」
「こちら女子トイレです」「こちら男子トイレです」
同時にコーラスしてるときもある(それを確認しているわたしもヒマ人か?)。
大きく赤の女子マークと青の男子マークがついてるんだし、間違うひとがいるんかいな。酔っ払ってたら間違うかもしれんが、それにしても音声で知らしめる必要があんの?あんた、だまっといてえな、と日本に言いたい。間違いや痴漢?を防ぎたいなら、タイルか、壁の色をピンクとブルーに分けるとかね。静かな方法はあるでしょうに。
横断歩道。なぜあそこで待ってるあいだ、夕焼け小焼けや、その他童謡を聞かなあかんの?
しかして、「ぴこぴこ、まだ信号は赤です、ぴこぴこ」
だったらだまっといてえな!なんか、言われたら足だしてしまうやんかい。
人間がしゃべらないのに、キカイがしゃべる。でもこれは一方通行。コミュニケーションをしているわけではありません。これって日本文化だろうか?人間が物言わず、キカイに言わす、文化。
自分に厳しく他人にあまいわたくしには、どうしても日本という自国に厳しくなってしまうのですね?
ロンドンでうるさいのはキカイの声じゃなく、救急車とか消防車のサイレンですけど。毎日のようにどっかで鳴っている。

  筆者うんちく)
に今回からさせていただきます。
*映画「Lost in Translation」 これ、めちゃおもろい。日本って、こんなふうにガイジンさまた 
ちに思われているのね、ってためになります?
自己反省のためにも?ぜひ。日本で公開されたら見てください。
コッポラの娘さんが、たしか、アカデミー?監督賞か脚本賞をもらったはず。

2004年4月17日                         ☆ く ぼ み ず ほ ☆
© Mizuho Kubo , All rights reserved…..April, 2004

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