37 蜂蜜いろの空気とコッツウォルズの青い空

五月はイギリスのベストシーズンですよ、と太鼓判を押してしまったために?日本からオランダ経由で知り合いがやってきました。わたしのことを、おねえちゃんと呼んでくれるくらい、家族ぐるみで小さいときからのおつきあいのある家族同然のご家族とそのお友達ご夫妻です。
二泊三日で渡英というのは短いのですが、ロンドンだけじゃ、やっぱり、もつたいない。せっかくこの五月に来るのだからお花やガーデンも見に、田舎に行こうと無理やり有無を言わさず計画を企てました。
めざすは、イギリスの人気の田舎、コッツウォルズ地方へ。
今回ご案内したのは、コッツウォルズも南の方、ほとんどバースやウェールズに近い西の方です。チャールズ皇太子がお気に入り、というテトベリー(Tetbury)に程近いところに宿を取ったものですから、行きはガイドブックにも載っている田舎町カースル・クームCastle Combe 。コッツウォルズの典型的な家並み(うすベージュ=俗に蜂蜜色の壁と言われる=壁と、スレートの灰褐色の屋根=これをなんかの色に似とると言った不遜なひとがいましたが)。村の真中には昔の羊のせりに使われたかやぶき、板張りの天井が昔を思い出させるマーケットプレイスが残るのんびりとした田舎村です。
道に迷ったおかげでパブでたまっていた地元民に聞いてお勧めされたレイコックLacockの村。ちららとテトベリー(これは、町というくらい他にくらぶれば大きかった)も見て、近くのマナーハウスの庭(というには大きすぎ、公園というのか)でマロニエの大樹の下、ゆっくりピクニック気分。というのもできちゃった。レンタカーって便利ね。
オールド・イングリッシュ・インというチェーンの古式豊かな個性ある村様式の田舎家に泊りました。ここだと、ほかに行くとこないから、パブ、レストランもついてます。夜中の二時まで暖炉の前でくっちゃべってたのですが、もう終わりやでぇ~と催促にも来ないで待っててくれた忍耐強いホテルの方。
ロンドンのパブは酒類を出せるのが規定により、夜11時までなので、11時前になると、かんかん、がんがん、鐘を鳴らして居座る客をおいだすんでうるさいんですけど。
夕食の献立もなかなか田舎と思えないおしゃれなものもあり、満足であります。朝食もねえ、ちゃんとした、伝統的イングリッシュブレックファーストがでました。何が伝統的イングリッシュブレックファーストか、というと、トースト、たまご(ご希望により、フライドエッグ、スクランブルエッグなど)ベーコンとソーセージ、それにトマトとマッシュルームと揚げたパン、ベイクドビーンズの豆まで(これはいつも抜いてもらうの、わたしは)。太れといわんばかりの内容ですが、これぞ、伝統英朝食なんですわ。他にキッパー(にしんの燻製のようなもの)とバターいためのコッド(たらの一種)から選べました。
コーヒーか紅茶に、オレンジジュース、シリアル(コーンフレーク)もついてます。
翌日は北の方からまたまたコッツウォルズの村々を寄り道して帰りましょう。
まず、ペインズィックという丘の上の町の近くにある、Rococo Garden のお庭散策。日本にはない、珍しい花や木に、おばさまたちも大満足のようでした。花や、木の名前がねえ、わたしはようわからんので、わかったらもっとおもしろいのでしょうが。ラベンダーの紫にりんごの白い花に、ハーブ類の緑に、なんやらのボタン色。と。
そこからさらに北上し、チェルトナムを超え、バートン・オン・ザ・ウォーターへ。文字とおり、Bourton-on-the-Water 水の上のバートンだよ。子供の足のひざ下くらいまでの浅い川で天気がいいのでみんな川の中に入っている。人間も、の~んびり犬や鴨たちといっしょに水浴びしてましたわ。靴、靴下のまま入っておる。この天気と湿気がないので、ぬれてもすぐ乾くわな。
ここはけっこう観光地となっており、川の両側には緑の芝生。ピクニックや、座ってひなたぼっこしてるひとたちがずらっと。ほとんど緑はひとで埋め尽くされておるくらい混雑しております。そのずらっとの後ろにはみやげもの屋さんや、レストラン、パブなどの食堂もずらっと。並んでおりまする。昨日見た行った、ひなびた田舎村とはひと味違う。わたしたちはちょっとした団体さんなんで、食事するのもひと苦労。パブの庭のオープンエアテラス席をふたテーブル陣取り、太陽の中、パブランチ。田舎の食事はおいしいね。日光浴しながら飲む地ビールもまた格別。
さて腹ごしらえができたところで、今度は バーフォードBurford へ。へ?バーコードとちゃうよ。ここは丘の上から下にハイストリートが一本どぉんと通っており、その両脇にお店が並んでおりまする。まるっと小さくまとまった村、水辺の観光地、丘の町、といろいろ変化に富んだいなか行脚でしたね。そ、選んだわたしを誉めて、誉めて?
あとは、オクスフォードを素通りし、高速にのって、ロンドンまですぐ。一路大都会へ。まあ、田舎の道に比べて都会の道のややこしいこと。一通(一方通行)はあるわ、信号もいっぱいあるし(当たり前か)。交通量も多い!渋滞、渋滞。
田舎をなつかしながら、ロンドンの都会へ帰ってきてしまったのでした。今回は天気にめぐまれ、ほんとに満足。イギリスって地がいいから、飾らなくてもそのままで売れる観光地。ポイントは天気でしょうな。天気さえ良ければ、お花はキレイ、お庭はキレイ、パブランチもサンシャインの中でみんなで食べるとウマイ!わたしは晴れ女と自他ともに認めておるんですが、やっぱり、きもちよい旅行には「おてんとさま」がいちばんの味方でしょうね。
日本から来られたみなさま、どこに行ったの?と日本で聞かれたら「コッツウォルズ」と言ってくださいね。覚えた?
「コッツウォルズ」ですよ。これでハクがつくよ?!
読者のみなさま、あなたが今度来られるときには、またガイドブックに載っていない、穴場をまた探しておきましょう。コッツウォルズでした。

2004年6月1日                         
© Mizuho Kubo , All rights reserved…..June, 2004

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