15 エディンバラ・フェスティバル見て歩記

ロンドン便りやのになんでエディンバラやのん?と申さるな。最後にわかるから。
これを番外編に入れるより、やはり、本編にというのが作者の意図でござりまするう。

8月のエディンバラと言えば、旅行会社の人間にとってはいやな時期です。なぜならばフェスティバル満載のこの時期、エディンバラのホテルは取れません!お客様が来ても「エディンバラ」「8月」で、はいさようなら。「すみません、エディンバラ・フェスティバルの時期ですから」を言い訳に仕事せんでもすむぞ(笑)
それなのにそれなのに。日本から来たともだちが、「せっかくだから行きたい」
ええ~、ホテルどうすんのよお、ホテル。同じような時期に問い合わせあったお客さんも満室でB&B なんてやみくもに電話してもしゃーないでえ。行き方は?飛行機なんて空いてへんで。列車でもええけど五時間くらいかかっで。たった一泊二日で。
どうなんねん、でも行きたい。ということで、わたくしはプロとして(?)ともだちのため、自分のため、がんばりました。自分のことやったら必死や。Go でも Easy Jet* のサイトでも見るわ、見るわ。いつもはコミッションくれないから敵にしてんのに。
 BR (British Rail) に電話し、料金からスケジュールから検索し、じっくりスタディ。
自分が客になると、なんとうるさいこと。ああだ、こうだ。
ホテルは会社のホテル係りにとってもらいました。プロやもんね。
私 「これ。。。」
彼女 「エディンバラやないでしょね」
私 「。。。。そう」
彼女 「8月やないでしょね」
私 「ピンポーン」
「で、もってわたしが行くのだ」
思いっきり!やな顔されましたが、取ってくれましたねえ。すごいええホテルをええ料金で。しゃーないなあ、混んでるんやし。この際、大枚はたいて行くか。
飛行機は高い料金しかないので、列車にしました。
ファーストクラス一等で往復£99!
まあ、安いでしょ。これが日曜日の帰りじゃなければ往復で£59というのもあったらしい。まあ、列車も飛行機に対抗せなあかんし。値段で対抗するっきゃないかいな。
わくわく。
国鉄の一等なんてはじめて乗ったと思うのですが、席は当然ながらゆったりしてるし、コーヒー・紅茶の飲み物が駅から出発する度にやってくるのですよ。ま、あましおいしいいとはいいがたいですが。おかげで4時間半の長旅もゆったりと過ごせました。
朝9時に出発して、午後2時前に到着。エディンバラのウエバリー駅は町の真中に位置しています。さっそく観光局に行き、めだまである、ミリタリータットゥーの切符をご購入に。出発前にウエブで見たけど、満席売り切れだったのです。でも、一度行ったことのある別のともだちが当日券も出るかもしれないからトライしてみい、と言うので、とことこ調べに。しかし、窓口では冷たく「Full 」とそっけない返事。また遅くに来てみ、ということでがっかり。
入り口のところにダフ屋さんぽいおっちゃんがいたので、一応、値段だけでも聞いてみようかいね。しかしそこに立っていたのはちゃんとブレザーを着て、なんとか交通のバッジをつけた、運転手っぽいおっちゃん。「ミリタリータッツゥーチケットあります。£22.50」
ええ、あるのん?で、いくら?おっちゃんいわく「一枚£22.50.キャンセルが出たので別に載せずに券面のまま売っている。7枚あるで」
ええやん、ええやん。欲しい!おっちゃん、2枚。
しかし!!!!わたしたちには現金がなかった。このひとにカードで買えるわけないし。なんでもカードでいいや、と思っていた日本からの旅行者友人といつでもどこでもすぐにマシンで引き出せるからいいや、と思っていた、ロンドン住人のわたし。他にもチケットをさがしている観光客らしき、日本人とアメリカ人らしいカップルが興味深そうによってくる。だめよ、わたしたちが先なんだからあ。とはいえ、文無しのわたしたちにはそんなこと言う権利はない。
ともだちを人質にわたしがマシンへ行ってお金を引き出して来ようかとも思うが、そんな人質が有効なわけない。待ってくれというのもできない。泣く泣く、とにかく、キャッシュマシンを求めて駅に戻るわたしたち。
しかし、やはりエディンバラもエゲレスであったのですな。駅のマシンは壊れており、別のところにある、と書いてあるサインを頼みに移動すると、そこも2つもあるマシンがどっちも Out of order.
これはやっぱりしっかり国内旅行じゃ!と認識しました。
どうすればいいの?おっちゃんは行ってしまう。チケットが行ってしまうわい。
やっと、ショッピングモールのようなところを見つけ、マシンを確認、あるある。でもここで安心したらあかん。イギリスのキャッシュマシンと電話ボックスは存在があっても動いてない、使えないということがほとんどなので、最終チェックが肝心。
やれやれ、OK。やっとのこと現金を引き出し、それがスコティッシュマネーであることにもびっくり。海外旅行やったっけな?これ?見なれない、お札。しかしお金はお金。女王さんの顔がついてへんけど、エゲレスのお金に違いはあるまい。何でおんなじ国やのに、Bank of Scotland 発行の札がここでは使われ、その他イングランドで使っているのは Bank of England と書いてある。Bank of Great Britain ではないのですな。北アイルランドでも、Ulster Bank  発行のアイリッシュマネーが存在します。ウエールズはないのよね。貧しいからかしら?ごめん。ゲール族の皆様。ま、いつもの永遠のテーマ「イギリスとは?」を再認識して、次。
金だ、金だ。やあっと現金が。これでわたしたちはミリタリータッツゥーチケットをゲットできるうぅううう。ううう。急ぎチケットオフィスに戻るが、さっきのおっちゃんはもう姿形なく、「ミリタリータッツゥーチケットあります。£22.50」の看板が冷たく窓枠に置き忘れられたがごとく残っているだけ。
あああ、せっかくだったのになあ。がくん。
気を取りなおして、とにかくホテルにチェックインしようぜ。そうだ、せっかくええホテルに泊まるんやさかいに、ホテルのコンシェルジェで聞いてみようぜ。なんて賢いわたしたち。使えるもんはホテルのコンシェルジェでもつかえ?
ホテルはお城の裏手にあり、ミリタリータッツゥーに行くには絶好のロケーション。ああそれなのに。それなのに。チケットが。
チェックインしてすぐコンシェルジェに直行。
「今晩のミリタリータッツゥーのチケット2枚ほしい」
おにいちゃん、顔をしかめて「すごくむつかしいけれども、やってみよう10分だけ時間をください」
部屋に入り、待てどくらせど電話が来ない。やっぱないんやろか。むつかしいんやろか。待ってても無駄だからもうあきらめて観光にでかけようか、と思った矢先、電話が。
「一番いい席であります」
やったああ。でもいくら?
券面£25の特等席が£35。そうかああああ。でもしゃーないね、せっかく来たんやし。のるか!
で、かくしてわたくしたちは無事ミリタリータッツゥーを見れることに。
ミリタリータッツゥーとは何か?と言いますと、簡単に説明しますと「楽隊」です。Tattoo は「入れ墨」以外に「楽隊」という意味もあるんよ、ひとつ賢くなったわね。読者のみなさん。百聞は一見にしかずなのですが、色とりどり、デザインさまざまなスコティッシュ・キルトに身をつつんだ、ロイヤル・アーミーの面々がバグパイプの演奏をするのです。今年は女王陛下在位50周年ジュビリーの記念年ということでイギリスだけでなく旧英連邦である、ニュージーランドや遠くトンガなどからも楽隊がやってきて、ブラスバンドしてました。アトラクションあり、花火ありのとっても楽しい二時間半。お城の前の広場に特設野外ステージがエディンバラ城の城壁を背にコの字型につくられており、その真正面にわたしたちの席はありましたので、楽隊がつくる E II R (エリザベス二世の称号)の人文字もばっちり。きれいにわかりました。横にも席があるのですが、多分、£22.50の席からはわからんやったやろな。ははは(ざまみ)。
生バンドのオンパレード、オペラ歌手の歌も入り、題名は思い出せないけど、聞いたような曲ばかりで、まわりの英国人だか、英語圏観光客らはいっしょに口ずさんでいました。
もちろん、国歌斉唱、ゴッド・セイブ・ザ・クィーン。おおこれ、これはルール・ブリタニアっていうんか、BBCのプロムスの最後に指揮者と聴衆が一体となって、ユニオン・ジャック振りながら歌うやつ。もちろん、スコットランド民謡「オールド・ラング・ザイン(蛍の光)」も歌います。バグパイプ隊の演奏にあわせ、わたしゃ、日本語で歌っていました。
余談だが、あの、ルール・ブリタニアを英語で歌いたくて、ディリーメール〔新聞・これについても一文書いてます〕の「British Anthem」のCD応募してもらっちゃったもんね。
フェスティバルはもちろん、いろんなところでいろんな催しがあります。町のいちばんの繁華街、エディンバラ城とホリルード宮をつなぐメインの道はロイヤル・マイルと呼ばれ、そこにも特設野外ステージがいくつか設けられ、にわか芸人たちがパフォーマンスしています。ロンドンで言えば、コヴェント・ガーデンの大道芸人をいっぱい持ってきて、広範囲でやってるってかんじ。
そのなかで、まっとうな参加ができない、許されなかったひとたちが集まって独自でつくったのが「選外佳作」のフリンジ・フェスティバルと呼ばれています。これも20000以上の催し物があり、その内容も、シアター、コメディ、ミュージカル、ドラマと幅広い。
半プロか、素人だったら、あたりはずれがあるかなあ、と心配でしたが、わたしたちの選んだものはまあ、合格。楽しませていただきました。
まず、どれを見るか。これを分厚いガイドブックのリストを見て、項目別になっているものの中から、自分たちの興味ありそうなのを選ぶ。言葉の問題があるから、そういう問題なく、なるべく楽しめるようなのがいいね。時間も決まっているので、それにあわせ、スケジュールを組んでいきます。エディンバラ中のいたるところに劇場、参加サイトがあり、ホテルの中とかで、そのために場所を提供して貸しているようなところもある。
で、結局、二日にわたり、5つの催しに参加。ひとつひとつは£5-7くらいと通常のシアターに比べ安めです。
最初に見たのが「Shakespeare for Breakfast」 £5.50 朝食付き、に引かれ、参加したのですが、おもしろかった。要は「ロミオとジュリエット」をパン屋同志の戦いに置き換え、おもしろおかしく演出しているのです。わたしゃ、ロミオとジュリエットがコメディやったとはしらんかったわ。
小さな劇場なので、いっちゃん前に陣取ると、役者さんたちが目の前で演技しているのが見える。向こうも観客を巻き込み、進めていく。舞台と観客席が一体となったパフォーマンスでしたね。こんなに近くで俳優さんたちと遊べる?とは。
あとは、この日に結局あと3つ、翌日にひとつ、見ました。見ましたというより、すべて参加した、って感じ。
Sherlock Holmes :Murder in Edinburgh
これはドラマですが、シャーロック・ホームズ(作者のコナンドイルはスコットランド出身)の実際の作品を変えてのなんと、Walking Tour.
俳優さんたちが劇しながら庭園や、館に入っていくのを観客がぞろぞろついてくの。
折からこの日はすっごい土砂降りの大雨で、傘をさしながら、びしょぬれになりながらの熱演(見る方も空が屋根だと、ぬ?屋根が空か?つらいわな)。しかし、面白かったわ。趣向がおもろい。

 Myths and Hymns
これはいわゆるミュージカルでしたけど、アメリカや新大陸訛りのシンガーもいましたな。 
 Dog well Done
ドラマかなあ。ようわからんかった。ホットドッグ屋さんの悲哀?ってやつですかね。

 How to be successfully mad
舞台と思ったら、なんか、ジャック・ニコルソン似の心理学者みたいなおっさんがレクチャーっぽいことをやってました。観客は5人。段段の客席にはクッションなど置いてあり、ヒーリング(癒し)系の感じかなあ。

エディンバラは古い伝統的な建物が残る高低のある素敵な町です。小ロンドンって感じで、ロンドンにあるものはエディンバラにもあるで、という心意気?なのかお化け屋敷の「ロンドン・ダンジョン」ならぬ「エディンバラ・ダンジョン」あり。
ミレニアムドームのようなものもありました。なんて言うのか、別の名前になってましたわ。地図みたらわかると思うんだけど。
一泊二日のはずが、もう一泊、延長して、ホテルも観光局のおねえちゃんが、親切にわたしたちの低予算にあう、B&B を苦労して捜してくれたので、エクストラの滞在を楽しむことができました。
エディンバラはスコットランドだけど、国家元首にはイングランド・ウエールズ・北アイルランドまた、コモンウエルス英連邦と同じ女王陛下をいだいているわけだし(あ、このへん、細かいところで理解しまちがってたら、お知らせください、村野せんせい)そのへんはやはり、英連邦ですか?
セント・アンドリュー・クロスの雨ガッパを来てるひともいました。買おうかなと思ったけど、イングランドで着たら殺されるかも?と思ってやめました???

作者注) Go, Easy Jet* いわゆる格安航空会社。ペーパレスのチケットなし。
機内食なしもしくは有料で、席は自由席。国際線でもデューティーフリーなどの
機内販売はなし。
航空会社協定に入っていないためスケジュールフライトの既存航空会社に比べ安い
料金を出している。主にインターネットでのオンライン予約を取り入れ電話予約だと
別に手数料がかかることがある。

むらの氏注)英連邦にはスコットランド、ウェールズ、北アイルランドはメンバーになっていません。国(nation)とは認められていますが主権国家(sovereign state)ではなく、他の主権国家との外交交渉はしないことになっています。この辺りは北野教授の専門ですよね。

2002年9月10日                  
© Mizuho Kubo , All rights reserved…..September 2002

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