40 オペラの楽しみ

 ロンドンはもう秋というより、朝晩は冬の気温になっておりますが、夏の思い出をひとつ。海外(イタリア)は番外編で別に作成しました。ここ、本編では、ロンドンのオペラシーン(きゃ、なんてえらそうな)を主に語ってみましょう。
 だいたいが、ロックアンドロールきち、だったんですけどね。若いときから(まあ、今も若いけど)。FM ラジオも(日本から見て)あちゃらのポップ系、やロック系のみ聴いており、クラシックのクの字もでなかったんです。長い間。そういえば日本にいたときから好きな外タレってイギリス系が多かったなあ。古いけど、ビートルズ、とローリング・ストーンズは見境なく、どっちも好きだったしぃ。レッド・ツェッペリン(赤じゃなくて、LED なんだぜ)やバークレイ・ジェームズ・ハーベストなんてのも(知らないよねえ、今の若いひとってこういうの)イギリスだったわん。70-80年代の髪の長いヒッピー風と言うとわかっていただけますでしょうか。
 またまた余談で本題から、ずんずんと、はずれていきますが。
 このまえテレビのトークショーにデュラン・デュランが再結成!で出てたんです。デュラン・デュランよ、知ってる?なつかし~って感じですけど。まだ生きてたんや。トークしてジョークなんか言い合っているときは「ただの中年のおっさんたち」に見えたのに、いざ、ステージに立ち、マイクを持って楽器を演奏しだすと、やっぱ決まってるわぁ。昔とったなんとか?
 一般的にイギリスの昔のロックンローラーの息は長い。ロッド・ステュアートもサー(サー、ですよ)ミック・ジャガーもいまだに現役でやってます。トム・ジョーンズしかり、サー・クリフ・リチャードしかり。年取ったからって演歌歌手に転向することなく(あたりまえか)、昔のまんま。思うにきっとこのひとたち、60になっても70になってもロックンローラーしとんやろなあ。
 さて、そろそろ、本題に戻ろう。
 このごろ「クラシック」に凝ってるの!と友人に言ったら、えらい、ハイソやないかい、と驚かれてしまいました。
 そう、ことの起こりはオペラでした。オペラでクラシック・ミュージックに目覚めてしまったのです。ふだんの掃除中とか、料理中の鼻歌がふと、アリアだったり。耳に残るソプラノの旋律―なんちゃってね。
 自己満足という気もしますが、ロンドン北のとある知るひとぞ知るイタリア食材店で物色してたら、店内にかかっているバックミュージックに聞き覚えあり。
 アイーダだ!Celeste Aida なんて題名までわかっちゃうもんね。もう出ようと思っていたのに、その曲が終わるまで店の中にいて聞いていたりとか。
 うちの大家もクラシック好きのようで、留守のときに、空き巣防止のためか、わざと大きくFMラジオをかけている。それがドアを隔てたわたしの部屋にまで聞こえてくることがあります。どこのFM局でこれやってんの?と捜したことも。そう、反対に言えばうちの大家の場合、クラシックがかかっているときは外出しとんな、とわかります。
 オックスフォード通りの、どこにでもある音楽ショップのHMVってのが(タワーレコードやヴァージンメガストアの類)ぱっと入ったところの地上レベルはロック系、今流行り系の音楽ががんがんうるさいくらいに流れているんですが、地下に比較的おとなしめの音楽コーナーがあり、そのまた奥にクラシックコーナーがあります。今まで、地上レベルにしか足を踏み入れたことがなかったのに、このごろは店に入ると直に階下へ。ガラスの扉をぐぐっと開き、足を踏み入れると、まあ、耳もそこに行くようになってんですが、そこにはひんやりとしっとりとしたクラシック音楽が流れているのですわ。グランドフロアのがんがんロックアンドその他若いやん系ミュージックがうそのように、まるで別世界のようにおごそか。オペラコーナーもあり。作曲家別、オペラ歌手別、題目別。スペシャルコレクション別。見てるだけで楽しいけど、あまりの情報の多さに初心者のわたしとしましては、かなりしんどいです。
 夏は野外!ということで、今年はよく行きましたなあ。ロンドンでも。
 毎年、ホランドパークの野外劇場でオペラをやります。これは題目がクラシックでも、振り付けや舞台装置、演出がけっこうモダン。イタリア語でやる場合は英語の字幕が舞台に向かって右端なので、右の方に陣取るのをお勧めします。
 お金のこというと、ここは席の料金が3種類しかなく、右端と左端の2席ずつがぜ~んぶ一律20ポンド(2004年)。早く予約して、前の方の右席(番号は1と2)を取れると別に45ポンドの真中前方でなくてもいいかも。ステージ自体そんなに大きくないし、こぶりな宮廷楽隊風オーケストラが見やすいので、前もいいですが、階段席がまっすぐなので、どこでもそんなに見易さは変わらない。右端2列ってのが通(つう)のせきかもね。せっかく36ポンドだしても3番で、このひとたちの隣だったりすると損した気分???
 ただ会場がいけいけ、のマルキー(テント)の自然空調なので、屋根はあるが、壁はなく、雨や夕立で、風が強いと吹き降りになっちゃう。もろ、端席は被害を被る。音と音の間の静かなひととき、猫ちゃんのみゃあみゃあなく声がリアルに聞こえたりとこれも野外舞台ならではのご愛嬌ですが。
 幕間には芝生のところにしつらえてあるハンパー*でピクニック気分をどうぞ。あらかじめテーブルを予約しておけます(有料)。外の空気を吸いながら緑の芝生でピクニック。いいねえ。優雅の2文字。でも幕間の休憩時間は20分しかないので、あまりゆっくりできません。そう、実際のお役立ち情報を入れとくと、トイレは仮設の簡易トイレですが、キャンピングカーのようなものの中にブースがあります。別段、清潔ですし、設備もちゃんとしたのと全然変わらないので、使用状態はいいです。ただ、20分間にほとんどの観客がいちどきに殺到するので、日本ほどとは言わないまでも、先にトイレに行ってから、あまったお時間にゆっくり休憩される方がよろしいかも。これ、どこでもいっしょでしょうけど。



 ホランド・パーク・オペラについては先の記事で
→→ こちら 「158 ロンドンの野外オペラ」 に画像入りでいれてます

 英語圏のわりにはオペラがポピュラーなイギリスで、特に劇場天国ロンドンにはいろんな有名人歌手などもきますし、出し物も継続的にやっています。ロイヤルオペラハウスはオペラとなるとけっこう、料金が高いですが、当日の朝、並んでリターンズ**を待てば良い席が安く観れるというひともいます。
 今まで、わたしはオペラなんて知らなかったと思いましたが、よくよく考えてみるとけっこう聞いたことのある曲がオペラのアリアだったりするんです。テレビの主題歌やらコマーシャルソングやらドラマの挿入歌などにも使われている曲が多いってことですかいね。
 さっそくロイヤルフェスティバルホールのオペラのコンサートに行ってきました。オペラの舞台劇ではなく、テノールが10人、それぞれにオペラのアリアを歌います。なんでこれに行ったかというと、お目当てはテノール歌手 ホセ・クーラなのです。説明すると長くなるから簡単に、彼はもともと指揮者からはじめて、声がいいので、自分でも歌いだしたのです。容姿もいいわよ。歌って、指揮して、大忙しでした。ホセ・クーラだ、と思って彼のファンのいち友人を誘ったのですが、ひとり舞台じゃなく、10人もテノールがでると券を買ってからわかったので、一瞬後悔したのですが、結局、歌わないときは指揮して歌ってる若手歌手に演技指導までしていたので、自分で歌わないときも舞台にずっと出ずっぱりのホセ・クーラに彼女は満足していたことでしょう。
 お金にあまり縁がないわたしたちは、高いチケットは買えまへん。今回は、サイド席。
 ストール(オーケストラ)席の横手にある、ボックス席の下というあんばい。ストールのレベルからは一段高くなっていて、見晴らし?いいし。お値段はストール席よりぐぐっと安いが、舞台とのキョリは横から見ているだけで、同じくらい近いです!これ、わりといいかも。通(つう)の席、と呼んであげよう。
 まわりを見ても、なんとなし、通のひとたちが陣取っているような。ブラボーの掛け声もまんなかのお上品な高い席からのひと声より一段リキが入っているような。
 この劇場は他とちがっていて(他にあるかどうかは研究不足ですが)、コーラス席というのが、舞台の奥、楽隊のステージの奥にあります。ここでも観客できるのです。ベンチだし、安い!立見席くらいの料金でちゃんとお椅子つきです。でも、ベンチだから長丁場だとちとつらいかも。来年1月にここでムーティ指揮のガラコンサートがあるのですが、このベンチ・コーラス席を取りました。歌手だと背しか見えないけど、指揮者だったらベンチ席の方が顔見えるもんねえ。かしこい(?)!この結果報告はまたいたしましょう。
 サイド席はその点、両方見れてぜったいお得!くせになりそうな席です。
 しかし、考察するに、オペラとこういうコンサートの違いは、歌手のかたたちにとってどうなんやろ?オペラ劇は、ストーリーがあって、話の筋が歌でつながっていて、演技しながら表現しながらアリアなどを歌うわけです。音楽にあわせて。それを、独立したアリアとはいえ、舞台衣装ではなく、タキシード姿で自分のまま(オセロやカヴァラドッシ***のメイクなしで、っていう意味よ)歌うってのは?
 つうの観客としては、やはり、こういう場合もそのときのステージ状況・ストーリーの展開を思い出しながら楽しまねばならぬのでしょうな。ははは。まだ青いかも。
 こういう「なまもの」に遭遇できるロンドンはいいな、とまた思いました。もちろん、イタリアにいれば本場なので観て楽しむ機会も多いでしょうが、世界レベルの歌手たちが舞台に立ってくれる。またベンチシートなれば敷居が高いと思わず気軽に劇場に行ける。雰囲気を味わいにおしゃれしていくもよし、幕間のドリンクも一興。
 歌手もそのときのもの。有名歌手とはいえ年はとります。声も衰えていくでしょう。CD やDVDで一番いいときの声や姿を残せるとはいえ、なま、でしゅん、を聞く機会があればそれをできるだけ利用したいですね。にんげん、生きているうちしか人生ないもん(??)。そこで出会えるってやっぱり縁ですかいね。やはり、目に見えないもので他人に感動を与えることのできる芸術家はえらい!

筆者うんちく)
* ハンパー かごにワインやシャンパンにつまみの食べ物、チーズ、グラス、カトラリーなどを
 セットにしているのをハンパーといいます。通常は籐のかごなんかにギフト用にうつくしく配置
 されていて、クリスマスハンパーなどといってイギリス版のお歳暮に使う場合が多いです。
** リターンズ キャンセルが出たりして戻ってきた券を安く買える場合があります。
*** オセロ 同名のヴェルディ作曲のオペラの主人公。シェイクスピアの悲劇をもとにしている。
  カヴラァドッシ プッチーニ作曲のオペラ「トスカ」の男性主人公。ヒロイン、トスカの恋人。

  結局この夏、ホランドパーク・オペラ観劇には3回!行きました。
「フィガロの結婚」オペラ初心者向けかも。モーツアルトのドタバタ恋愛ど喜劇。つながってるようでつながっていないこれの前編が「セヴィリアの理髪師」。どちらも摩訶不思議な、多すぎる人間模様、つながらないお話。ドンデン返し。
「ノルマ」ローマ時代ガリアの巫女のこれまた恋愛三角関係悲劇。
ベッリーニお得意のベルカント・オペラ代表作と言われる歌うのが難しい名曲 「カスタ・ディーヴァ」は、マリア・カラスのおかげでリバイバルし、有名となりました。
「ルイザ・ミラー」ヴェルディ作。かかるのが珍しい出し物。言わずとしれた身分違いの恋で親の反対にあい。。。とどのつまりは死んじゃうっていうやつ。

2004年11月11日                         
© Mizuho Kubo , All rights reserved…..November, 2004


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