18 しゃべること、しゃべらないこと

英語はわたしにとって第二外国語です(第一外国語は標準語?)。
ここ、イギリス・ロンドンにいると、いかに自分の言いたいことを英語で伝えるか、というのがたいへんなときもあります。現地人とけんかできれば一人前とも言いますが、それには自己主張が必要。自分の意見が必要。
日本は言わなくとも言わずもがなで、あうんというのか、雄弁は銀、沈黙は金なんちゃって(反対か?)、言わないことが美徳とされてるきらいがありますね。言わんでも、わかれよ、とか、推し量れよ、って感じ。
あまし、しゃべらなくてもすんじゃう。
でも、ここでは!何も言わないってことは文句ない、意見ないってことで、何もしてくれまへん。
言う、言わないで状況が変わることも、貴方(貴女)次第!
あるスーパーマーケットで買い物をしたときのこと。こちらではランチョン・ヴァウチャーという商品券のようなものがあって、それで払ったのです。通常は例えば£4.99の買い物をしてヴァウチャーで£5とか出すと、おつりをくれないので(ベンジーズという安い!でもおいしくない、というサンドイッチ屋はお釣くれますの。また話はずれるけど唯一例外ここのチーズ&トマトのホットトーストサンドはいけまっせ)、£4と、お釣をもらうように端数を現金で、という方式を取っています。お釣の3ペンスをもらうために、わざわざ20ペンス硬貨を出したわたし。それらを受け取ったあと、レジの女の子はレシートしかくれません。「え、おつり3pでしょ?」と言うと、ランチョン・ヴァウチャーで払ったから出せないと言う。
いや、だからわたしは£3.17のうち、£3をヴァウチャーで、端数を20pキャッシュで出したんやんか。例えば4ポンド分をみんなランチョン・ヴァウチャーで払ったら、そらあなたの言う通りやけど。引き下がるわたし。しぶしぶ、邪魔くさそうに、そのおねえちゃん、もう一度レジを開け3ペンス戻してくれました。Lovely!
しかし、なんでそんなことうだうだ説明(主張)せな、お釣もらわれへんねん!
ガトウィック・エクスプレスに乗って空港まで行ったときのこと。10分の違いだし、在来線なら定期で割引が効くのでそれに乗るはずが、いつものごとし、乗り場を間違えてうろうろしている間に遅刻しそう!あわててエクスプレスに飛び乗ったのです。切符を買い換えてるヒマはなし。まあ、車内で差額払えばいいや、と思っていました。切符拝見の車掌さんがやってきました。ちゃんと見るかなあ、とちよっと不安。何かいいかけたら言い訳しよ、言い訳得意やし、と「プラットフォームをミスして時間なかったから飛び乗ったの。差額を払うけど」。うーんと切符を見ている車掌さん、ビヤ樽のような体をゆすらせ突然わたしにウインク。
切符にはさみを入れ何もわたしに請求することなく行き過ぎました。
きっと事実は割引の切符との差額を計算するのがめんどうくさい、もしくはできない、のでしょう。でもなんかちょっと気持ちも得した気分?
これまた空港関連。こちらに来たてのロンドン生活新人のころヒースロー空港で航空会社のセミナーがあって行きました。ヒースローはゾーン6。わたしの持っている定期はゾーン2まで。普通は地下鉄の乗り越しは乗る前もしくはゾーンを越える前に延長のチケットを購入せねばなりません。わたしはうっかり忘れていて、ヒースローのターミナル駅に着いて自分がゾーン2のチケットしか持っていないことに気が付きました。どうしよ、あ、でも出口付近に清算の窓口がある、と見て、差額を払いに行きました。窓口のおっちゃん、わたしの目の前の紙を窓ガラスの向こう側からこつんとたたき、£10 払え。そこには罰金£10 と書いてある。
なにい?ゾーン2からゾーン6だったら差額は(当時)£1.90じゃない。なんでわたしが£10 も払わんといかんのよ。「規則が変わった。罰金が£10」なにが罰金よ、何もわたしは悪いことしてへんわ。ちゃんとこうして、差額を払うべくここにおんねや。日本だったらねえ、降りる前に差額払えばちゃんと出られるのよ、なんで普通の10倍も払わんといかんのよ、理解できひんわ。
わたしのギャーギャーに(このときはほんとに怒った)豪を煮やした*(この変換ってあってます?)おっちゃん、ついに£1.90で許してくれました。ほれみい、勝ったあ。£1.90でいいものをなによ、ほんと、ぼったくりやないの。ぷんぷん。
これは皆に言って、わたしの腹立ちを共有してもらわねば、と当時の同僚にその話をしました。するとその同僚の一人いわく「よくそれで許してもらえたね、係りの言うように、ついこの間法律が変わって、はじめにエクステンション(延長分)買っとかないと罰金になったのよ」
ひえぇ~。知らないということは強いこっちゃ。皆様お気をつけあそばせ。
ハロッズのトイレ。(ごめんなさいね、いつもの下ネタで)
ハロッズのデパートのトイレは日本の百貨店のように無料ではござりません。£1 もするのよ!(最近使ってないのでわからないが。通常、駅や公衆のお手洗いの相場は20ペンスくらいですね)で、ここに来て間もないころ物見遊山にハロッズに行き、ついでにトイレもどんな豪華か見たろう!なんて、行きました。と、ドアのところに美しげなおねえさんが立っている。なにか言われたのですが、意味がようわからんかった。どうしよう、どう答えるかすべを知らず、だまっているとおねえさん、きっとわたしは英語がわからないと思ったか、このひと、緊急なんだわ、と思ったのか、あきらめて入れてくれました。
出てから家に帰ってなんとなく、考えるに、おねえさんが尋ねたのは、レストランかカフェを使ったのか?と言ったような気がしたのです。なぜトイレに入るのにそんなことを聞かれないといけないのか、とわたしは思い、無口になってしまったのですが、レストランの客はお金を払うことなく無料で利用できるのでしょう。トイレだけ使うひとは、ハロッズに来るくらいだから、1ポンドくらい払いなさい、と言うことなのでしょう。
ウィーンでのある免税さわぎ。
これは聞いた話なんですがね。
イギリス在住のある人が週末ウィーン旅行へ行ったときのこと。ちよっとしたおみやげ物を買い免税の対象だったらしいのです。ご存知のように、わたしたちはイギリス(EU)在住者。ウィーンで免税範囲の買物をしてもロンドンに戻るのに、免税は受けられません。お店のおばちゃんが勝手に「Tax Free」の書類を作ってくれ、持たせてくれたもんですから、つい貧乏根性がでちゃって。ちゃんと、お金返してくれる窓口まで見たもんですから。税関を通る前に一応、聞いとこかな。「あっちでスタンプもらってから来て」と冷たくおばちゃんに言われ、右往左往。税関のいかついおじさん、書類を見て「どこへ行くの?ほれ、切符見せて見せて。ロンドン?ロンドンへはどのくらい滞在すんの」
クリアに質問はわかったものの、答えようがない。ロンドンに住んでると言うと免税は受けられない。二人ともどうしよ~と顔を見合わせ無言。
書類にロンドンの住所を書いているにもかかわらず、おじさん、こりゃ、言葉わからん日本人じゃい、とばかりに、パンとスタンプを押してくれちゃいました。ラッキイィ!
ウィーンから日本へ行く便があるしねえ、空港内は日本人だらけやったし。日本人よう買物するし。ほんまにラッキイィやわ。パリではこういう風にはいかんやろなあ?
で、そのひとは戻ってきたユーロを二人で山分けし、チョコレート買えたのよ。お相伴にあわなかった方ごめんなさいね。あ、でもこれ、ひとの話にしてるけど、作者とちゃうのん、と疑っているあなた。答えは保留にしといてね。みなさん、くれぐれもこういうわたしみたいなひとの?真似はせぬよう。これ、当局には内緒にしといてや。

スペルチェックはできるが文章までは?
わたしの今までの文章をキカイで「校正」かけるとやたら出ます。
当て字。
入力ミス。
句読点の連続。
くだけた表現。
「い」抜き?「の」の連続。
助詞の連続。
(これ、余白かせいでる?枚数かせごうとおもてると思う?)
わたしの文章はそら、これの満載かもしらんが。ネイティブにだけわかる、この感覚?
でも漢字の使用ミスはわからないのよね。「変換」はしてくれるけど。選ぶのはわたし。わたしのおつむ。使用、仕様、私用、飼養。いっぱい出てくるけど、意味がないと選べない。使えない。日本語ってむつかしいですね。書くといっしょでも読み方が違う場合もあるし、読み方いっしょでも意味が違う。やっぱ、日本人って賢いのだろうか。
英語だと、スペルのチェックはできるけど、文章のチェックもこれまたできない。テンス(時制)の違いとかね。人称しかり。スラングとかはあるだろうが、同じ言葉を文章を使い、個性的雰囲気を出すのはどうしたらいいのだろうか。みなさま、英語圏の作家の方々などはどういう風に「個性」を出しておられるのでしょうね。わたしが原語で読んだことがあるのは、アガサ・クリスティの推理小説とフィールディングの「ブリジット・ジョーンズの日記」くらいですけど。それぞれ、個性はありますね。時代も違うけど。なぜか?
英語も綴りはキカイに任せられても、文章の校正まではできませんよね。例えば

 His made has is mistake was that longer no anything.

ひとつひとつの綴りは正しくても文章になっとらん。日本語にも同じことは言えるでしょう。
美しい日本語とは?
今、日本語ブームだそうで、10月に一時帰国したとき、ざっと本屋で雑誌の題名の拾い読みをしても、日本語だの、ことば、だののタイトルが多かったような。そのようにキョーミ持って気にしてたから多いのかも。
どこやらの若い女性向け雑誌に「関西弁の魅力」みたいなのがあって、思わず買おうかと思いましたが、立ち読みしました。関西弁のソフトさ、やわらかい口調を誉めていました。とわたしは勝手に解釈しております。
このエッセイも、いつもあわてて書いて送っているので、あとから見ると間違いに気づいたり、ご指摘を受けたりします。持っている知識の誤りはともあれ少なくとも誤字・脱字は恥ずかしいので、ちゃんとチェックしようと思います。昔の文章を自分でせこせこ、書き直してますので、新しい読者の方々も含め、バックナンバーをご覧くださいまぁせ。整理不得意のわたしですが、近日整理できたら、公開します。乞うご期待くださいませ。
北野先生注)*業を煮やすのでありまして、豪を煮やしたのではとても歯ごたえがありすぎますでしょう。この「業」は罪業の「業」ですな。佛教用語。平穏なこころで暮らしていないと来世に良いところにいけませんよ、いつもにこにこしてましょうね、という程度の意味合いなのでしょう。

2002年11月27日                  
© Mizuho Kubo , All rights reserved…..November, 2002

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