17 カルチャー・ショック再び 

おのぼりさん日本観光気分  10月にまた日本へ一時帰国してまいり、カルチャー・ショックの新たなネタを仕入れてまいりました。何でも文章にしちゃうエッセイなわたし?今年はじめに、したためました、「8関西逆カルチャーショック」と続けてお読みいただくとキョーミ深いかと存じ上げます。
日本をあとにし、イギリスを「住む」地にして6年たちます。その間、一年に一度くらいは一時帰国しますが、今回感じたのが、わたしは日本へ観光に行く旅行者気分だったということです。
携帯品チェ~エック!
パスポート、航空券、外貨(日本円)、クレジットカード。そうそう、ハンカチ・ハンカチ。日本のトイレは「自動手乾かし機」がついてないとこ多いからなあ。国際空港のトイレでも。
今回は実に20年ぶり(!そうね、3つの時以来かしらぁ?)かに、東京を訪れました。友人宅にお世話になりましたが、井ノ頭(関西方面のみなさまのために。これはイノカシラと読むのよ)沿線に住んでいるため、若者の町、渋谷(しぶや)・吉祥寺(きちじょうじ)見物とまた、浅草(あさくさ=こら、わかるか)見物までこなし、まさにこころは観光客だっせ。
成田空港に着き、大阪へのみやげの詰まって重いスーツケースを宅配便で送り、身軽になって軽やかに成田エクスプレスにご搭乗。
宅配便って便利よねえ、安くて、しかも全国どこでも翌日に着くのだ。カウンターの前には、うじゃあとひとがいるのに、店員さんがやってきて「はい、次のかた、お待ちのかた、お待たせしません」ときびきび、ぱしぱし、こなしているのを見ると気持ちがいい。
翌日は日曜日であったが、「12時から15時の間に着きます」
ひえええ。ロンドンじゃ考えられない。小包はいついつ着くと言っても、ぜえったいに時間の指定なんてでけへんし、言うてても来ない、なんてことがあるが、それに腹を立てていてはイギリスには住めん。
しかし、列車のプラットフォームっつうのはアナウンスのうるさいとこですな。
「○番線、次の列車は品川方面行きです。2分でまいります。成田エクスプレスをお待ちのかたは○番の矢印でお待ちください。○番線、品川行き普通です」
これをまあ、3回くらい繰り返します。
これで乗るのを間違えたらあほ。
「成田エクスプレス45号、27分発東京行き、まもなくまいります。全席指定です。ご乗車の方はあらかじめ座席指定券をお買い求めください。乗車座席番号○号車。。。。」
これで指定券を買わずに乗ったらあほ。
ちなみに、ロンドに戻ってきてヒースローに着いてヒースロー・エクスプレスのプラットフォームに立って比較してみると、こちらは、アナウンス一切なし。からうじてプラットフォームの上方電光掲示板のサインに「次の列車 あと12分」
あと12ふぅ~うん!って感じですが。なんか静か。静かななかひたすら待ってるだけ。で、いきなり音もなく、列車はやってくる。
日本では、みな、きちんと列を作って待っているよなあ。大阪も、この頃はえらいですね。「ちよっとごめんなさい、割り込みおばはん」もいません。だって、こちとら、やっと一台見送って次は座るぞ、とおばさんっぽく、いっちゃん前に陣取っていたのに、列車がプラットフォームに滑り込む、まさに5秒前に、どこからともなく、おばさんがやってきて、ドアがわたしの前方に見えようとする瞬間、わたしの前にいるの。で、堂々と何事もなかったかのように、一番に車内へダッシュするんだぜ。同じ日本人として、関西人として、おんなとしてちよっと考えられへんかった。
いつものロンドンでの日常として、適当に並んでいると、おっと、ここに並んでいては車両のドアはわたしの前には止まらないって感じです。ちゃんと、並ぶところをマル、サンカクと区別してある。マルは特急、サンカクは快速とかで(JR の場合)。
(ちなみにロンドンの地下鉄では、もちろん、ここにお立ちください印もないし、次の列車が前の列車と同じところに止まってくれるか、は未定、賭けに近い確率なので、ラッシュアワー時に奥は空いてるのに、ドア付近でふきだまりのようになっている乗客に、押して乗ろうとするとめちゃ、やな顔されるから、遠慮深い大和撫子は無理やり乗れず一台見送った場合、次に一番に乗り込めるかどうか、ドアが自分の前に止まるかどうかは、おばさんの存在以外のところで、まったく運を天に任す次第)。
成田空港ではけっこうすごい人がいちどきに着いて、入国審査のところは支離滅裂状態だったのですが、並び方はばらばらだが誰も文句言わず、ひたすら待っていました。
「日本人⇒」「外国人(Alien)」 このサインにエイリアンの方々は戸惑っていらっしゃいましたわ。しかし Alien  ねえ。この英語もいつももっと他に言い方はないのか、と思うけど。シガニー・ウィーバーが後ろに立ってたらどうする?
ちなみにヒースローの入国審査では外人は「E.U.」と「Other Passport」 だもんね。どっちもどっちか?
去年、関空(関西空港)に着いたときも、一度に降りてきた人が多く、入国審査台の前が、「だま」状態になっていたのですが、その中で「さっさと通さんかい」と関西弁でどなっている半ヤクザ系の方がいました(即、係員がやってきて列が解消され通れました)が、さすが、成田空港ではお上品でそういう方はお耳にかかりませんでしたわ。
一応、成田空港駅では日本語のうるさい放送のあとに「英語」の放送もあったのですが、いつも思うことですが、日本では英語より米語という感じですね。わたしは僭越ながら言語学者でも教授でもないのでようわかりませんが、電車の「車両」のことを car と言っていましたが、イギリスでは coach (長距離バスもコーチと言いますが)とか carriage と言います。これってようわからん。アメ語でしょうか?日系英語?
テレビなどのニュースでも聞こえてくるのはアメリカ英語のみ。ま、近いしなあ。物理的にも政治的にも。イギリスを含むヨーロッパからすると日本を含むアジアは Far East 極東なのですねえ。
今回はヒースロー空港の免税店で買物カゴを持って、お客様に渡しているサービス係りらしき男性を見かけ、びっくり。一瞬、ここは日本のスーパーか?と思いました。Sainsbury’s(セィンズベリ=これも発音をそのままカタカナにしてこれでいいのか?そのままの発音を日本語にするのはむつかしいと思う)というイギリスのスーパーマーケットでもこのごろ入り口でカゴを持って、入ってきたお客に渡してくれるひとがいたりして、だんだん、サービスがアジアチックというか、日本的になってきた、と感じていました。イギリスが日本に近づいてきたのか?
一方、成田空港駅のプラットフォームでは、茶髪、金髪はもとより日本人なのにイギリスで見るような「冬でも寒くてもタンクトップ姿」の若い女性を見かけ、目が点。日本はヨーロッパに近づいているのか!?
東京で、荷物を持っていたので、エスカレータの右に立とうとしますと、友人に、左に立たんと歩かなあかんよ、と言われました。そうか。ロンドンや大阪とは逆ね。なんで?
帰阪後、別の友人にその話をすると、「東京だけや。世界中でおかしいのは」と関西人らしいコメント。羽田空港で、「大阪行き」のチェックインを済ませ、伊丹空港に着き、エレベータの右側に立って、まわりのひとの関西弁を聞くと。ああ、ふるさとに帰って来たわ、って感じ。
大阪の百貨店で「英国展」なるものをやっていましたので、ついつい入ってしまいました。
パイ料理が展示場内の特設レストランで食べれます?
ここで言わせてもらうと、イギリスで言うところの「パイ料理」というのは、いわゆるさくさくっとした、何層にもなったパイとは似ても似つかぬものです。会場では「ミート・パイ」「シーフード・パイ」などが供してあったが、あれはどっちかというと、日本料理・フランス料理でしょうなあ。
イギリスのフィッシャーマンズ・パイやシェパーズ・パイの「パイ」とは、マッシュポテトのことで、主に羊肉の味付けミンチの煮込みの上にマッシュポテトをかけ、オーブンで焼くのがシェパーズ・パイ。中身が肉の変わりに、コッドという魚を入れるのがフィッシャーマンズ・パイとなります。
日本のパイとは発音はいっしょでも似て非なるものです。「ミート・パイ」なるものは、ありません。ミートを使うなら羊肉ですが、シェパーズ・パイかな。「ミンス・パイ」となりますと、これは、クリスマスに食べる乾燥果肉のみじん切りラム酒などで味付けしビスケット生地で包み、パイにしたお菓子です。ちよっと食いいじはってる自称グルメなわたしから言わせてもらうと。
この「英国展」で体験した「ミート・パイ」を本場?イギリスで食べようとしたひとがいたら失望するかも。イギリス・パイもおいしいんですけどね。でもレストランでは出ないやろなあ。パブとかに行ってランチタイムに見つけるとかにしか。
英国だからスコットランドも入るのはわかるけど、アイルランドまで入っておったなあ。
この辺も「英国」という政治的・歴史的事情が日本でもわかっているのか、わからいでやってるのか。ま、別にいいんですけど。
英国と言えばアンティーク!なのか、アンティーク屋さんもいました。
お高そうな、ヴェネチアングラス、マイセンのコーヒーカップなどが並んでいるのはなぜに?「これらの商品はイギリスで買い付けたもので、ヨーロッパの他の国のものもございます」とは説明してあるけど。フリークなわたしには、こだわりを持って、イギリスだけにしといてほしかった。
このへんが、またも何でもありの日本か。
そうそ、あ、これ、きたの先生のお好きなジュエリーだわ。ちまちまと小さなダイヤモンドの粒のような細工の、なんて言ったっけ。ど忘れした。「マーカサイト」???そんな名前だっけ? 家に帰ってから思い出しました。Marcasite (マルカジット)でしたわよね、確か。ま、所詮英語を日本語にしようとするからムツカシイ。
スコーン。特大ビスケットとパンのあいのこのようなイギリス名物。これもさすが日本。チョコレート味がありましたよ。レーズン入りや、麦芽小麦粉原料っつうのはあっても、これは元祖エゲレスにはないぞえ。
しかも、自称グルメなわたしから言わせてもらうと、それだけで売ってんのよね。ジャムは別に隣のブースでジャムだけ売ってたけど。スコーンにはストロベリー・ジャムとクロテッド・クリームを添えてほしい。ま、お好みですし、クロテッド・クリームはなかなか日本では(大阪じゃあ)手に入らないかもしれんけど。わたしにしてみれば、ジャムとクロテッド・クリームがついてないスコーンなんて、気の抜けたビールみたい。スコーンだけ食べておいしいかね?でも日本の、日本製のスコーンだから、それだけ食べてもおいしいように、作ってあるんでしょうね。きっと。味見はしませんでしたが。
なんか、イギリスを味わったのか、違うものを見たような気になったのかわからないまま帰途に着きましたの。
日本は自動販売機天国ですなあ。どっこにでもある。
駅、道端、百貨店の中。ないから不便ってことはないのに、あったらつい使ってしまう。
駅のプラットフォームで11時12分に来る(11時12分にしか来ない)列車を待っているとき、お茶。コーヒー。プラットフォームで飲み食いするひとを見ることは少ないけど、みな、買って、持って帰るのかしらん。
雑音、騒音。音天国。
携帯電話の音。ひとによっていろんな種類。自分の電話が鳴っているのか、ひとのなのか聞き分けるには便利。
駅、店内のアナウンス。
「携帯電話は他のお客様の迷惑になりますので、ご使用にならないようお願いします」というアナウンスがそもそも迷惑。
炊飯器。ピンポ~ン。「ご飯が炊けました」
お風呂。ピンポ~ン。「あと5分でお風呂が沸きます」「お風呂が沸きました」
別に教えてもらわんでもええけど、っていう感じです。これを便利と言うのか、余計なお世話というのか。
いつもついお湯を入れすぎたり、沸かしすぎるうっかりもののわたしの母のような人間にはぴったりですけどね。でも、「お風呂が沸きました」ってすぐ入らんでしょう。結局ぬるくなっちゃうの。水も適量入れて自動で止まって、適温に沸かしてくれるんだから、それでいいだろうって。
そんなに大きな音でもないから、テレビ見てたり、しゃべってると聞き逃す。でも、大きい音だとうるさいだろうと思う。意味あるのか?この音の洪水は?
「便利」のひとことで片付けられることって多いのですが、果たして、ほんとうに必要なのか?人間が頭を使わず、考えなくていいように、頭を使って考えられたものが、人間を何もしなくていいように、考えなくていいようにしていく?
で、考えなくてよくなったその空間に別のものを創造することができるのか、どうなのか。便利で片付けられて何も考えることなく、マニュアル通り順を追って、単にばかになっていくだけじゃないのか。
日本はどんどん便利になる。
ものもあふれてて新しいものがどんどん出来ていき、日々変わっていく。
もちろん、イギリスも北朝鮮もスピードの違いはあれ、徐々に変わって行くのでしょうが、イギリスにいると、日本にいるほどにはスピードを感じないで生きていける。
滞在が2週間とか短いし、いつも浦島太郎子状態で帰国するので、そのギャップがまたまた広がるのでしょう。
そんなことをふっと考えてしまった今回でした。

2002年11月8日                  
© Mizuho Kubo , All rights reserved…..November, 2002

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