30 お宅拝見その2

 はい、続けてその2です。今回は超有名人のお宅拝見!
 家政婦は見た!いや、一般人が見た。
 それもはんぱやないです。バッキンガム宮殿。にお邪魔してきました。
 女王陛下にご招待をいただいたわけでもないんですが、待ってても来ないと思ったので、恒例・夏季特別公開にこちらから押しかけました。今年は「戴冠記念の特別展」が併設されているというので一度行こうと思っていたところへ、一石二鳥かなって。
 こんなロンドンのど真ん中に公園が、ってほどの広い池つきのお庭。運動会ができるほどの中庭の車寄せ。わたしのせまフラットが入っちゃうほどの階段踊り場。
 バッキンガム宮殿は言わずと知れた、現女王陛下のロンドンの公式お住まいです。プライベートとお仕事どちらの場でもあります。
 もとをただせば、チャールズ一世の時代に(というと、1625年から1649年、と年史を見なければおぼえとらんて)ゴーリング卿(だれ、それ?て言わんといてね)がロンドンのはずれ(ここ、傍点ふりたいところです)に立派な屋敷を建てましたのさ。
 はじめは、「バッキンガム・ハウス」と呼ばれていましたのさ。
(お宅訪問その1にでてきました)ホワイトホールパレスが火事で焼失し公式行事の場だった宮廷はセント・ジェームズ宮殿に移されたのさ。その後ジョージ三世が私邸として買取したとさ。
 ここでその息子ジョージ四世登場。このへんから現在の宮殿に近いものになるのですが、これもみな、この放蕩派手浪費息子王の命により、改築を担当した当時の建築大家ジョン・ナッシュ卿のおかげ。中庭にマーブル・アーチまでつくっちゃった。
 この王様は、公式行事にバッキンガム宮殿を使うことを考えます。芸術感覚にはすぐれていたようで、ここを改装したのち、父王から譲り受けたおびただしい数のコレクションの芸術品、フランス製とイギリス製の家具の数々も全部、現在見るような広い豪邸に収めました。豪華絢爛・華美金襴・華麗大理石とふんだんにお金も使いましたが完成前に途中で王様がなくなってしまったため、ジョン・ナッシュは国庫の使いすぎのかどでクビ。
 次の王、弟のウィリアム四世が任命した建築家エドワード・ブロアは前任のナッシュの設計に従いながらも、華やかさはない堅実路線。結局完成したあと、実際に住んだのはヴィクトリア女王。がこのひとはなにせ子沢山。大家族で住むには不適当、とまたまた改築・増築。しかも最愛の夫アルバート公を亡くしてからはウィンザー宮ですごすことが多くバッキンガムパレスは閉ざされ、ながらく幽霊屋敷化(もったいない)。息子のエドワード七世のときに、また住居として返り咲き、またまた改装。みんな、自分の好みでぱっぱと改装できるからいいよねえ。この方の趣味は白と金箔。もともとのナッシュの様式にはあわない趣味でした。今わたしたちが土足でおじゃまできるところはほとんどこの頃に出来たようなものです。
 わたしたち一般参観人も、ここに招待されるセレブと同じように「大使の入り口」からおじゃまし、大広間、大階段を通り、お客様を迎える数々の色の名前のついた客間や、有数の絵画のコレクション(ほとんどがジョージ三世と四世の時代に集められたルーベンス、ヴァンダイク、レンブラントなどなど)を見ることができるギャラリーや、ガーター勲章を授与するときに使うボールルームと呼ばれる大広間を見て歩きました。舞踏会のボールでっせ。一応、言っとくと。音楽や楽しいこと大好きだったヴィクトリア女王の時代にはここで華やかな舞踏会が開かれていました。
 秘宝の数々。
 ジョージ四世というひとは、見るからに派手なひとだったらしく父ジョージ三世と自分の時代にかねと名誉にものいわせ(王様というだけで献上されちゃうんだからね、ナポレオンがつくらせたセーブル焼きの一岩テーブルなんてのが)集めまくった秘宝の数々が今のバッキンガム宮殿で見ることができます。世界一のアンティーク、18-19世紀の秘宝のコレクションはイギリス王室が一番持っている、と村野先生もおっしゃっていらっしゃるように、ありましたで~、ここには。
 ときもときフランスはルイ14世のロココ時代のものがお好きだったようなので、派手に生まれついて、良かったんでしょうな。そういう時代だから派手になったのか?フランス革命前のヴェルサイユ宮殿にあったと同じような(というより、そこにあったのを買ったのはほとんどイギリス王室と貴族)家具などもたくさん見受けられます。わたしの趣味ちゃうけど。とえらそうに。ちょっと言ってみたかっただけなの。
 それが何の説明もなく、すらりと飾ってある。大理石のテーブルや、金メッキの銀の食器などが。ソフトセーブル陶器のポプリ入れなどが。アポロンの金の時計が。とにかく金綺羅なの。
 ウォレスコレクションにも通じるところですが、ウォレス卿の何代か前のひいおじいさんだかの当主が当時の摂政王子プリンス・リージェントこと、ジョージ四世の親友だったというだけのことはあります。この広い宮殿の一室一室を飾るに足りるだけの家具や装飾品が充分あるというのもすごいことですよね。
 床のフローリングも寄木細工の床、なんてのがあって、英国の職人芸のきわみ!です。唐草模様の床にはそのような、バラの花の模様の床にはそのような、じゅうたんまで模様をあわせてあって、ちゃんとマッチしています。お見事!
 象嵌細工がすばらしい蓋付きの机、がすらりと置いてある「白の客間」は、隠しトビラで王族の私室とつながっているそうで、天井まである金箔の枠つき鏡がとびらになります。この秘密のとびらをあけ、王族はここから公式の間の数々へとおいでになるんですの。
 半開きに10センチほどわざとあけてあるとびらの前にかっこいい警備のおにいちゃんがじんどってて、その合間を見て中はどうなってんや、とちらちらのぞいてみようとしましたがよう見えへんかった。
 「戴冠記念の特別展」では、50年前の戴冠式にお召しになった女王様の「戴冠ドレス」や式次第の絵。ビデオ、そのときのラディオ(思わず古めかしこんでこういうふうに書いちゃった)放送も見たり、聞いたりでけました。
「戴冠ドレスとローブ」は一見の価値あり。白地に金銀、パール、の刺繍。その模様も、イングランドのばら、スコットランドのあざみ(シスル)、アイルランドのシャムロック、そしてウェールズは(忘れた。ごめん)の各地方の草花がメインに刺繍されており、裾の方には、英連邦の国の草花、たとえばカナダのメイプル、インドの綿、などという風に織り込んであるんです。実に一年近くかけ、王室刺繍学校の生徒たちがつくりあげたのです。
「プリンス・オブ・ウェールズの洗礼」とだけ題したヴィクトリア女王の姿のある大判の絵の前で。
 とあるアメリカ人(とわたしは見た)が警備のおばさまに「プリンス・オブ・ウェールズってだれ?」とまぬけな質問をしていましたが、プリンス・オブ・ウェールズとは嫡男、跡継ぎ王子につけられる一般尊称です。
 この場合はヴィクトリアの息子、だから「エドワード七世」とでてくるんです。
 現女王の長男、チャールズが今のプリンス・オブ・ウェールズですが、このひとが王になった暁には長男ウィリアムちゃんがその名前を授かります。次男は「ヨーク公」と決まってるみたいで、現女王の父、ジョージ六世は次男だったのに、おにいちゃんのプリンス・オブ・ウェールズが離婚暦のあるアメリカ人女性と結婚して王位を辞退してしまったがために、ヨーク公からキングになってしまいました。
 思わず日本語のガイドブック買っちゃった。英語~にしようか迷ったあげく、やはり、このレポートを書くにはちゃんとした日本語の単語を並べねばと???言訳かい?
 おみやげショップには記念グッズがやまほど。去年庭で開催された記念コンサートのビデオも上映されており(買うこともできるが)オジー・オズボーンとかがシャウトしとったわ。しかしお宅拝見、おもしろかった。王室歴史のいい勉強になったわい。
 去年、戴冠記念で改装なって再オープンしたクィーンズギャラリーは年間通して公開していますので、そちらへもどうぞ。バッキンガム宮殿の雰囲気が少しでも味わえます。
 今度わたしがバッキンガムに足を踏み入れるときは、*MBA 勲章でもいただくときですかいなあ。なんちゃって。

  *MBA 勲章 
 いろんな世界で貢献・功労したひとに与えられる勲章。この勲章の段階もいろいろあって、また 
 のおべんきょう時にね。くわしく?

〇 このあと、Parliament (国会議事堂)夏季公開にも行ったの。聞きたい???

2003年10月18日                
© Mizuho Kubo , All rights reserved…..October, 2003

コメント

このブログの人気の投稿

花日記 イギリスの四季の花・初夏~夏編

イートン・カレッジ

番外編・イギリスのドア番号と家のサイン