24 ブルーベルものがたり

本編には珍しい旅行編。イギリスの国内旅行したからね。

一つ前でお知らせしましたが、5月は花の季節です。その休日を利用してガーンジー島に行きました。ガーンジー島ってどこや、というわたしのともだちのような方に。ガーンジー島はイギリスなんですのよ。れっきとした?
インドの一部ではござりませぬ。
綴りもイギリスらしくむつかしい。一度では覚えられない。Guernsey と綴るのだ。
お隣のジャージー島ならご存知の方もいらっしゃるのでは?
ジャージー牛乳に、イギリス在の方ならポテトの Jersey Royal  という品種をご存知でしょう。今、ちょうどスーパーに新じゃがが出回っている時期です。
フランスと隔たっている、英仏海峡の中、この二つの島はほとんどフランス寄りに位置するチャネル諸島の一角なのです。このほかにも小さな島があります。ガーンジー島自体もそんなに大きな島ではありません。多分、車で1時間もあれば一周できてしまうことでしょう。今回はそのガーンジーへブルーベルを見に行く、というのが目的のひとつでした。
5月はブルーベルの月。イギリスの一般家庭の中庭などでも5月に入ると、その名の如く青い小さな鈴のような花をいくつかつけて咲いているのを見ることができますが、森の中に咲いているのが、これ、すごい。ブルーのじゅうたん状態で、群生しているブルーベルの草原を間近に見ることができます。
おまけに、ガーンジーでは、海岸線が見事で、リアス式海岸になってところどころ岩場もあり、夏は海水浴場になるであろう砂浜のきれいな海岸もけっこうあります。まだ泳ぐには少し早かったですが、泳いでいるひともいました。ヒェ~、見てるだけで寒くなるぅ。 
また、クリフウォークと言って、海岸線のウォーキング用に整備された山道・丘道をブルーベルを求めて歩くことができるのです。幸いお天気には、ばぁっちり恵まれ(日ごろの行いよね!)、これもまたここはイギリスかと思うくらいの天候の気持ち良さ、でした。
一番の街はセント・ピーター港。
空港から街まで路線バスでも15分くらい。港の中心に位置する観光局で「どこに行けばブルーベルがもっともよく見られるか」を聞き、そこから海岸のクリフ沿いに歩いても2-3時間でお昼は別の町でレストランでランチができると聞き、いざ。
しかし実際はもっと時間がかかったのでした。写真休憩に、アイスクリーム休憩が多かったからかどうか?その前にオールドタウンのウォーキングガイドツアーがあると言うので、観光局前の看板前で待つこと30分。ガイドさん来ない。やっぱりバンクホリデーはイギリスなのね。看板にはバンクホリデーマンデーはツアーなし、と書いてあるが、今日は日曜日なのだ。でもお休みのよう。観光局のおばさんが、待ってもらったのにごめんね、と謝ってくれましたが、はじめ、わたしたちといっしょに待っていた観光客らしい老カップルもあきらめてどっかへ行ってしまった模様。
ま、天気もいいし、散歩がてらブルーベル見に行くっか、ってなもんでいざ出発。
散歩、なんて侮っていましたが、けっこう胸突き心臓破り(大げさか?)坂あり、階段あり、展望台ありのバラエティと自然にとんだ、いいクリフウォークでした。健脚者コースかもよ。
ガンジーはね、フランスに近いからか、イギリスとはいえ、国内とはいえ、海外旅行の雰囲気が味わえるのです。町の名前や道の名前にフランスちっくな綴りが見られます。一時、フランス領だったことにも関係します。でも英語が公用語です。当たり前か。
泊まったホテルのある通りはHautville と言って、Haut(高い、上の) Ville (街)。
確かに丘の上を登るように通りは高台をめざし上がっていく。ヴィクトール・ユーゴーの住んだ家も同じ通りにありました。彼は政治的理由でフランス政府から追放され1856年から1870年までこの地に住みました。「レ・ミゼラブル」を書き終えたのもここでです。
本当に住んでいた家はいわゆるイギリスで言うところのテラスドハウスの一軒で個人のひとの家になっているようですが、向こう側は海岸線でさぞかし、眺めがいい家だろうなと。そこから数ブロック先に今やパリ市の管轄になっている博物館があり、ガイドツアーで当時の彼の生活が見られるということだったのですが、いかんせん、イギリスはバンクホリデーなもんで、見ることができませなんだ。ざんね~ん!
他にもフランス訛りというか、フランス語から取った名前がたくさんありました。レストランやショップの名前もフランス風味盛りだくさん。
世間は休みでも、食いもんは休まへんからねえ(ところが、、、があとにくるけど)。本場のシーフードも盛りだくさん。花よりだんごのいつものわたしたち。
牡蠣に、ブリルというさかな、ガーンジークラブ(インドの紳士の集まりやないよ)、これは、かにです、蟹。ロブスター。これがガーンジー名物だっせ。シーフード、シーフード、を食べるぞう、とやっきになってレストランに行くと、休日で仕込みが足りず、シーフードレストランに行ったのに、さかながない!と言う。ええーせっかく来たのにぃ。
チーフらしいウェイターのおにいちゃんいわく、申し訳ございません。今夜はさかな類がたくさん残っておりません。なにぶん、ホリデーですんで、仕入れと需要がおっつきません。(ぬぅ~・・・ホリデーのせいにすんなよ!)カニはあと二つ、ロブスターなし。シーフードプレートもあとひとつ残っているのみ。他に取られないうちにはよ、注文せな!メンバーの何人かは、なぁんとこの海に近い島に来てメインは肉を注文することに。ま、それもおいしかったんですけど。
ああ、幻のロブスター!
翌日はランチを残すのみ。ロブスター・ロブスターと「ロブスターある?」とレストランに電話して聞きまくる始末。しかし、有名どころのレストランはない!という。
イギリスの有名シーフードTV シェフ、リック・ステインが感動した、というのが売りのホテルのレストランに行きたかったが、お昼はビュッフェ・メニューのみでサンドイッチのようなものしかない、という。
まあ、いいかあ。かにはあるって言ってたし、ほかのものでも。とあきらめかけたとき、大衆食堂的レストランの前に出されていた一枚の看板に「ロブスター・サラダあり□(ます、のななめが表現できないことをお許しください)」の文字が!!!
思わず、目がきらきらきらきらきらぁ~。
「新鮮なガーンジークラブもござい□」
これや!
でも、書いてあってもない場合もあるから、一応、がっかりしないために確認しよう。
中に入って聞く。「ある」!!!先に行ってしまったほかのメンバーを呼びにあわててひとりが走り、わたしは中で関取、いや席とり。待ってる間にしっかり聞く。一応、フランス料理屋ちっくだったのだが。「たとえばさあ、ロブスタースパゲッティ、なんてのもつくってもらえるんかなあ」
もちろん、お望み通りにしますよ、マダム。
あったかいのがいいですか?それとも冷たいやつ?
なんでも、As much as you like! というサービスのよさ。メニューにない一品を注文することの喜びを知っているわたしたちはこういうの、うれしいのよね。日本じゃ、できん?
しかして、わたしたちが食しましたものは、
ガーンジークラブのサラダ。これまたかに身が、昨日に続きすごい量。新鮮。
ロブスタースパゲティ。ロブスターの半割のグリルの横にトマト味スパゲティをおいたという感じでしたが。おいしかったあぁ。
スカロップ(ホタテ貝柱)のクリームソース、ライス添え これもグー。
これで安いんですのよ。ロンドンにくらぶれば。しかも支払係はガーリックブレッドを勧められたのに、来なかった、で、食べてない(あの飽食状態ではまず、食べられなかったでしょう)しかしお勘定についてた、のをめざとくみつけ、文句言って引いてもらいましたが(念のため、彼女は関西人ではありまへん)あとでよくよく見ればホタテがお勘定についてなかったのよね。またまた、ラッキィ!ごめんねえ。これ内緒。
食べ物には、いつものことながら食い意地はってる集団ということで恵まれた旅でした。
(どうして、ここまで食べ物に執着するのか、我ながら不思議なのですが。ま、いいか)
ブルーベルを満喫した旅でしたが、帰国後(帰国っていいたくなるほど、海外旅行っていう感じでした。余談)。
余談が長くなりそうなので、改行。
ガーンジーではガーンジーだけで使えるガーンジーマネーがあるのです。若作りの(失礼!)女王さんのついた色の違うガーンジー紙幣。本土では使えないんやて。コインもあります。ジブラルタルやカナダのように、片面はもちろん女王さんの横顔です。でも本土では使えないんやて。なんでそういうことするかなあ。そのへんがよう、わからん。単一民族には。
ご心配なく、空港(これまたかわいいんだけどね。小さいっていう意味よ)のインフォーメーションであまったガーンジー紙幣は替えてくれます。両替しないといけない、なんてほんと海外旅行やんか。ほんまに。
イギリスでありながら、イギリスでない。フランスではないんだけど、フランスである。不思議な魅力のガーンジーはお勧めやで。ある程度の税金が払えないと家を買えないという長者番付、有名人・金持ちの住む観光客慣れしすぎたジャージー島より素朴という話も聞いてます。ジャージーはわたしにはまだ未開発。
ブルーベルに気をよくしたメンバーの一人の提案で今度は本土イギリスのブルーベル・トレインを体験してきました。
本土イギリスの、南東部、ロンドンから車で2時間ほどのところ、イーストサセックスにシェフィールド・パークというところがあり、銀で有名なシェフィールドとは何の関係もないのですが、そこからキングスコートというところまで蒸気機関車を走らせているのです。ブルーベルは線路沿いの崖やのっぱらにちらちらと見ることもできましたが、みごとさではガーンジーの勝ち!
わたしたちが行った5月11日には Railway at War  と題して催し物が開催されておりました。昔なつかし、戦時下の戦車や軍隊の様子を伺えるデモンストレーションをやっており、40年代の服装に身を包んだ軍人、レディたちや子供たちが登場。列車はレトロなコンパートメント(客室ごとに分かれている)で廊下がないので一旦発車してしまうと隣の車両には行けない。ドアを開けるともう座席っつうやつ。ま、今のイギリスでも似たようなんが今でも走っているところもありますけど。
軍服に身を包んだ軍人風の俳優さんが、もったいぶって、乗客をコンパートメント越しに検閲?に来ます。役になりきっていて、「ハイルヒットラー」なんて叫んでたりしています。入ったところの表玄関では軍人たちに演説ぶっている、スーパースター・イギリスの最も尊敬できる偉人ナンバーワンに輝いた人気政治家、往年の「チャーチル首相」がはまきと山高帽で存在していたり。
なにげに、プラットフォームのベンチに40年代のクラッシックスーツに帽子のおばさんたちが母の時代の昔の白黒写真に出てくるようないでたちですわって話をしていたりするわけです。こういうひとたち、みな俳優さんのたまごか、アマチュア劇団員だと思うわ。
こういうのって、ほんと、レトロでアンティークで雰囲気あり。わたしは好きです。戦争って言うと、つい日本では、敗戦、支配下、なんて暗くなるけど、こちらは「古き良き昔を上手に懐かしんでいる」気がします。やはり、ユーモアの国なのでしょうか。

2003年5月15日                    
© Mizuho Kubo , All rights reserved…..May, 2003

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