14 ワールドカップ2002その後 雑感

ワールドカップが終わりました。
今年は開催国としてアジアの日本・韓国が注目されました。イギリスにいる日本人としてわたくしも誇りでしたね。日本も(予想以上に)がんばってくれたし。韓国の活躍振りもいろいろと非難のタネもありましたが、いいワールドカップだったと思います。オフサイドってなにぃ?とうちのアルバイトの Mr Football に聞いてる、にわかファンのわたくしも、一応、試合のある日は毎日のように夜のハイライト番組のテレビにくぎ付け。
時差の関係で、こちらのテレビ放映は早朝からとなります。朝7時とか8時から始まるのでサッカー(イギリスではフットボールといいます。まさに読んで字の如し)発祥の地、期待のイングランド・チーム。サッカーを生んだ国はたいへんです。
イギリスでは試合が始まるのが早朝のため、テレビ観戦のために遅刻や無断欠勤を避けるためオフィスにテレビをおき、朝食まで用意した会社もあるそうです。見るなら会社に来てから見てねって。すごいなあ。試合が始まると路上にはだれもいません。ゴーストタウンのようなロンドン。終わって勝つと近所のパブはもう怒涛と歓声で満員です。
前に似たようなことをお話したかもしれませんが、ここで不思議なことに、代表選手の彼らは英国(イギリス)代表ではなく、「イングランド」代表なのです。
イングランド・スコットランド・ウェールズそして北アイルランドの4つを総称してグレート・ブリテンもしくはユナイテッド・キングダムというのが、イギリスの英語読みの正式名称ですが、イングランドという場合、スコットランドやウェールズは含みません。
サッカーチームもアーセナル、フーラム、マンチェスター・ユナイテッドといろいろチームがありますが、イングランドの総選り抜きプレイヤーの集まりが「イングランド」チームとなるのです。今回イングランドの試合のおり、観客席にお目見えした白地に赤の十字の旗がイングランドの国旗で、水色に斜めのばってん白十字がスコットランド。
これらがイギリスの国旗、ユニオン・ジャック*のもととなります。
デンマークと対戦したときは、イングランドが白地に赤十字。デンマークは赤地に白十字で、紛らわしかったようです。似て非なるこの二国。
テレビの番組でイングランドがブラジルに負けた瞬間を茶化して「スコットランドのパブでイングランドの負けを喜ぶひとたち」というのをやっていました。同じ国なのに、歴史上恨みが深い?というか、もともと違う国をいっしょにしちゃったのがそもそもの間違いかもしれません。
アイルランドが勝ったときはいっしょに喜び、負けたときは悲しんでましたけどね。
歴史の話はさておいて、ワールドカップ。
日本は三戦まで行って、トルコに負けても「ま、残念やけど、まあ、ここまで来たんだからええんちゃうの。ようやった、ようやった」という感じではなかったですか?
イギリスはそうやおまへんねえ。行け行け行け~って感じ。このあたりもお国ぶりがでるのでしょうか。アルゼンチンを破り、デンマークを破り、それは優勝候補のフランスを破ったデンマークを破ったんだから、もうこわいもんなし。優勝でけへんわけあれへんで。とのすごい自信。
お国ぶりが出たとわたしが思う傑作のひとつは、宿敵フランスが敗れたときにうれしそうだったこと。「バイバイ、フランス」なんちゃて、アナウンサーも喜んでました。4年前の恨みっつうのか。
海外にいる日本人はやはり住んでいるところの肩を持ってしまうのでしょうか。イギリス在住の日本人は日本のイングランドファンに負けず、イングランドびいきだと思います。
もし万一日本も勝ち進んでイングランド対日本なんてことになったら(なるかい!)どうしよう。わたしはどっちを応援したらいいの?どっちにも勝ってほしい、どっちにも負けてほし~ない。つらい、つらいわ。ってなもんで。
心配することも杞憂に終わり、日本が敗退しましたもので、その後はイングランドの応援に専念することができました。で、イングランドも負けてしまったその後は、もう空っぽ。その他の国の試合を見てても面白くない!不思議なもんです。こんなにイギリスに、イングランドチームのサッカーに、はまっちまうなんて。
ベッカム人気でしたねえ。4年前のフランスでレッドカードをくらってイングランドが負けたのはベッカムの「けり」のせいだ、と全国民のつまはじきになっていたのに。いたずら坊主がそのまま競技場で力任せにプレイしていたのが、キャプテンとなり、チームに貢献し、成長したものです。
12歳の姪がベッカムの大大大ファンで、「養子になりたい」そうです。彼の写真集を送ってくれとの熱い手紙。メールのアドレスにまで bekkamu.love  と入れてる。本名の綴りは David Beckham です。念の為。
ま、固有名詞は仕方ないにしても、さよなら、が Good bay やで。中学生やねんし、おとうちゃん英語の先生で、おかあちゃんも一応英文科出てるんやから、子供にちゃんと正しい英語教えてやあ、ほんま。試験の成績が良かったら写真集買ったる、とのせられているらしい。
おかげでロンドンのおばちゃんは、かわいい姪のために新聞を毎日買いあさり、ベッカムの記事を集めては解説付きで送ってやる始末。おかげでわたしは好きじゃないのに、ベッカムの情報に異常に詳しくなってしまいましたわ。お給料の話をすればマンユー=Manchester United が彼に払う給料が基本給は£70,000。これから300%アップの「週給90,000ポンド」。週給ですよ。週。.
ハートフォードシャー(ロンドンの北部郊外)にバッキンガム・パレスならぬ「ベッキンガム・パレス」と呼ばれる?城のような邸宅を持ち(7部屋あり、もちろん室内プールにジムに、レコーディング・スタジオまである!)、チェシャーに自分の仕事用マンション(マンユーの本拠地である、オールドトラッフォードに通えるよう)を買い、今度チェシャーに家族で住めるよう、ファームハウスのような田舎家をご購入。田舎家とはいえ、政府登録のグレード建築物なのです。この(Grade II Listed House)という程度がいまいちようわからんのですが、きっとすごいのよね。平民には手が出せまへんわ。寝室は5つ、主寝室から望める室内プールがあり、ジムの部屋に、子供の遊び場に。車はなんと7台。一台£145,000のベントレーにフェラーリ、メルセデスのコンヴァーチブル(オープンカー)を含む。なんで7台も車がいるのか、ようわからんけど、平民には。一週間、一日一台なんて毎日変えるのかなあ?
子供は三歳になる長男ブルックリン(子供の名前を背中に入れ墨していた。今はとったのか、ワールドカップでいつも終わって最後シャツをぬいでたけど、見なかったですか?観客のみなさん)と9月に誕生予定の弟二子。
ブルックリン用にフェラーリのおもちゃの車セットが、48,000ポンドやで!
なんでわたしが家族構成・持ち家と持ち車の数まで把握しとるんやろ。なんの得になるね~ん、こんなこと。と思いながら覚えてしまう!奥さんがスパイスガールのポッシュスパイスことヴィクトリアは、皆様ご存知のところでしょう。いろいろ言われておりますが、有名人という感じです。まだロンドンでお目にかかったことはないけど。わたしのようなしもじもの者が行くようなところには、おでましなさらないでしょう。
だいたいベッカムのあのしゃべり方は好きくないのよね。声も高いし(わたしは低い声の男性が好みです。覚えといてんか)。昔は you know, you know しか言わなかったし。このごろはまあ、ちよっとましなインタビューの応対もしてるかなと。
最後かわいそうなゴールキーパーの自分より年上のシーマンをなぐさめておりましたなあ。別のゲームで喧嘩しそうになった選手くんたちの仲裁に入るというキャプテン振りも発揮。
姪のおかげであまし非難できなくなってしまいました。わたしがファンだと思われたらはずかし、と思いながら、ニュース・スタンドでベッカム求めて新聞や雑誌を買っているわたしです。こちらは新聞配達などという便利なものがないので、みな毎日駅とかにあるキオスクのような、ニュース・スタンドで新聞を買います。先週たまたま買った日曜版の特集に「ワールドカップ終わったけど・ベッカムを賛える特集」なんて別冊付録がついてて、ラッキィ。また姪に送るものが増えました。
ある新聞によると、ベッカムは日本のワールドカップではいつもの彼の力量を考えると平均的な力しか見せなかった(らしい)が、あの日本人ファンによる人気を考えると話題のトップを行くそうです。
あの異常人気はなんだと思いますか?まあ、確かにかっこういい。年収の他にコマーシャル収入も3本。こんどマークス&スペンサー*が子供服のイメージに£350,000で契約するとかしないとか(ポンドと円の換算はいつものように巻末にて)。
コマーシャルというと、ベッカムが今契約しているアディダスが年間£3 million (三百万ポンド)、ポリスサングラスが£14 million  ペプシコーラが£3 million !!!!
日本円に直すには少なくとも0を二つ足してね。で、二倍するのよ。
コマーシャルに使える彼のイメージは、やはりかっこうよくて家庭的、奥さんと子供をこよなく愛する家庭人間なのです。ひとの年収を考えるといやんなるから。次。
でも、だいたいにおいて、イギリスのマスコミは開催国日本のマナーというか、イギリス人を含む他外国人観戦客に対する応対は「親切・丁寧」と誉めていました。さしたる問題もなく無事に終えることができて、開催国の国のひととしてはうれしい限りです(わたしゃ政治家か!)。チケットが余ってるのに買えないというのは、ど~いうことだったのか、というのは気になりますけどね。ほとんどのイギリス人が日本に着いてからチケットを購入したみたいですから。あるのにない、ってどういうこっちゃい。協会が悪いのか。どうなのか。
改善してほしいですね。
四年後のドイツをまた期待したいものです。お国がらきちっとしてそうやから、ばかの二の舞はしてほしいないが。四年後はベッカムちゃんも31になるし、大丈夫なのかなあ、とも思いますが。また新しいスターにも期待したいし。
若干17歳で98年のフランスのワールドカップ・デビューしたマイケル・オーエンも四年たつとけっこうおっちゃんになってしまいましたなあ。今年は怪我でそれほどの活躍が見られず、ファンも残念だったでしょうけれど。このひとも家を7つ持ってます。結婚するなら、サッカー選手かしらね!?
春から夏にかけてイギリスはスポーツ・イベント満載。今年は特にワールドカップがあり、アスコット*もジュビリー*もかすんでしまいましたが、イングランドが負けてからは、もうイギリスはワールドカップは終わったかのように静かになり、ファイナル戦が始まる前に始まったウィンブルドンのテニスの話題に移行した感があります。これもねえ、イギリス誇りのティム・ヘンマン。今年こそ優勝してくれよ、がいつものテーマなんですが。残念でした。わたしは別にファンじゃないんだが、今年のヘンマン人気は異常で、ヘンマンファンを「ヘンマニア」と呼んでいました。イギリスの、こちらはユニオン・ジャックの旗を持って観戦に行くひと。コートでの歓声のすごいこと。ヘンマンを「変換」しようとしたら「変マン」になってしもうた。これもいけてるかも?
グレッグ・ルゼツスキーという発音のむつかしいひとも期待の星でして、こんな名前でブリティッシュナンバー2。アレジが去り、サンプラスが去って、やや、ブリティッシュ勢に有利か?と期待されとってやけど、オーストラリアを忘れちゃいかんよなあ。アメリカにしても、ま、もとはいっしょやし、ええんちゃうの。
ということでウィンブルドンも終わり、あとはスコットランドでの全英オープン(ゴルフ)ですなあ。ゴルフはわたしはまっ~たくわかりませんので、読者のひとり、高田氏にいつか教えていただきたいと思っています。緑の芝生の上で自然と一体化してプレイするのは気持ちええやろなあ、と思うだけで。
ここにいると、スポーツに近くなるスポーツ・オンチのわたしです。

作者注)
換算レート 1ポンド=約180-190円 かな。今。

ユニオン・ジャック
むらの氏注)斜めの赤「セント・アンドリュー・クロス」がスコットランドのセント・ジェームス・クロスとカウンター・チェンジしてユニオン・ジャックとなります。実はセント・アンドリュー・クロスはそれまでアイルランドとは縁もゆかりもなく、イングランドとスコットランドのクロスと色彩上、デザイン上両立可能なクロスを「セント・アンドリュー・クロス」と名付けたものです。

他からの引用)
アスコット=ロイヤル・アスコットと呼ばれ王室主催の年に一度の大競馬のひとつ。毎年6月中旬に3日間だけ行われるが、今年は女王陛下50周年記念ジュビリーで5日間開催された。通常は中日(なかび)のレディース・ディには華やかな帽子たちをドレスにあわせて着飾ったご婦人がたがフォーカスされる!行きたかったワ!

マークス&スペンサー    イギリスの大手スーパーのひとつ。ダイエーをもっと上品にした感じ?と言うよりはむしろ、食品部門はイカリスーパーに近いかな。関西で言うと。けっこう庶民的でもあり、高級志向でもあります。食品はイギリスにしたら味が良く、バラエティに富んだものがけっこうおいてある。昨年は不況のおかげでヨーロッパに展開していた海外店舗をけっこう閉めてしまいました。ま、こんなことまで説明せんでもええか。

2002年7月9日                  
© Mizuho Kubo , All rights reserved…..July 2002

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