番外編 ガイド術エジプト編


表紙 神殿入場チケット よく行ったわね

やはり、仕事柄、ガイドやツアーの持って行き方、運行の仕方にはキョーミあります。

 このガイドくん、カイロからやってきました、と言っておりましたが、なかなかおもしろいひとでした。名前はバッシム。スパイダーという意味らしい。覚えられなかったら、くも野郎、と呼んでねだって。プロっつうかなあ、けっこう研究熱心で、いろんなフライヤー(紙で印刷したもの)をくれました。ルクソールとアスワン、ヒエログリフについて、エジプトでの、健康維持のための清潔さを保つ方法、楽しいクルーズを続けるために、パピルスの作り方などなど。
 ガイドは兼エジプトロジスト(エジプト学者)でもあるので、いろいろ詳しく全般にわたって、知ってないといけないわけです。どこのガイドでもそうでしょうけど、歴史、地理、年代、文化、民族、習慣などなど。ぬぬぬ。

 わたしたちは彼を師匠と呼んでおりました。というのも、弟子と呼んでる若いおにいちゃんがルクソール博物館見学から登場。見習いです、と紹介され、横にひっつき、携帯にいっしょけんめい、師匠の説明を録音していました。はじめは集合時間に遅れてきたり、違う場所で師匠を待ってたり、ちょっとどんくさいとこもあったなあ。そんなんで、ガイド務まるんかね?師匠はクルーズ船に一室をあてがわれてましたが弟子くんは船には乗せてもらえなかった模様。どこに泊まってたんかねえ。

彼は若くてかわいいので、みなのアイドルになっておりました。いいな、ハンサムは。
 師匠は説明にも、ジョークや裏話を盛り込み退屈させません。去年ボストンに行ったのが、ネイティブ英語圏・アメリカも初めて、ということでしたが、えらいなあ。多少の発音が??なところもあったけれども、これは、エジプト語を英語で言おうとするときが多かったかな。ま、彼はエジプト人、わたしはイギリスにおる日本人、なんでしょ~がおまへん。おおむね、けっこうな、ご説明でした。乗客のいちイギリス人は彼の発音は突然アメリカ英語になるわね、なんて言ってたけれど。agree.


レリーフの前で熱弁をふるう師匠(真中)。弟子の右手は携帯をにぎっての録音中。
左端のド派手なピンク・ターバンはマケ妻のもの。ここでも目立ってんの。

 あれだけの事実と神話と現代を盛り込み、説明するのは大変だなあ。ときどき、はしょってましたけどね、実は。墓の中ではガイドできないから、とか。ここは景色を楽しんでください、だの。


 注意事項は、日本式に、前もって伝える、ころばぬ先の杖方式。それがけっこう実務に影響されてたりして。

 生水は飲むな、辛いものはやめとけ。追いかけてくる門前前の売り子たちに注意。云々。船内のカルトゥーシュT シャツ売りやガルベーヤナイトを宣伝して、店の売り上げにも貢献しておるでしょう。コミッションももらっとるやろけど。

 活劇、メンバーを無理やり引き込む神話劇!
 これを言いたいために「ガイド編」つくったみたいなもんやけど。

 ホルス神殿の壁のレリーフの前で。オシリス神話のレリーフがあり、説明しだしたら、聞いてるメンバーを古代の神々に見立てて解説です。昔、太陽の神とその妻がいて。。。ひと組の温厚そうな夫妻をひっぱってくる。息子が生まれました。これがオシリス。創造の神で、なんでもできて優秀。のん兵衛夫婦の夫登場。その妹であり妻が美人で「はい、好きな女性を妻に選びなさい」というガイドのことばに、やはり、この酔っ払い夫婦のだんな、ちゃんと実生活の妻を選びました。やんやの拍手。でないとリコンだな。ところがこのよくできたおにいちゃんをねたむ弟がいました。こいつは悪者で、どうしよもない、悪いやつ。ここでマケだんなのプロレスラー登場。ご指名により。兄を殺し、ばらばらにしてナイル川に棄ててしまいました。夫を殺された妻のイシスは嘆き悲しみ鳥になり(はい、ここで鳥、鳥。妻に腕をあおがせて鳥が飛ぶポーズをさせる)夫の遺骸を捜しに行きます。はい、さがして、さがして。妻、ずっと腕をあげさげしてないといけない。
 で、パーツを集めてもとの夫に戻して、できたのが、息子のホルス。ってな感じ。お話もお話だけど、それに合う乗客の中から選んでくるところもすごい。おもしろく話が理解でき、わかりやすかったです。
 それに、このガイド、学校の講座のように、宿題与えるんだよね。はて、なぜオベリスクの上は軽くなっているのでしょう?で、答えは明日、なんて言って、答えてくれてないよねぇ。聞き取れなかったんかもしれんけど。


後姿の3人 左から弟子、マケ娘、師匠


↓ アスワンで、ファルーカ船に乗り込むひとたちを手伝う師匠(右端)


↑ 師匠と弟子(左)。師匠切っちゃてますけど。
だれを狙っているのか、ズーム明白! 
手前の真中、最年長らしい杖のおじいさんと孫息子(黒シャツ)


 カイロからこのクルーズの1週間、船で乗客とともに過ごし、家族と離れていた師匠。何年か前に嫁さんに「拉致」されて結婚したらしい。子供は男の子と女の子がひとりずついる、といってましたが、アブシンベルの帰り、バスの中で、息子が中間テストの結果をいい成績報告してくれた、と喜んでみなに報告してました。自分は中級エジプト人だと言ってましたがお金のかかるインターナショナルスクールに入れているらしい。父の顔見せてましたね?10歳、とか言ってたと思うんだけど、英語、ドイツ語、フランス語も学科に入ってていい点数だったよう。さすが口達者な父親似?

 弟子くん、師匠のよいところだけ見習い、早く一人前になるんだよ。

 それとびっくりしたのが日本語で案内していたエジプト人ガイドが大勢いたことです。カップルとか、小グループ日本人を日本人でない現地のひとがガイドしていました。流暢な日本語が聞こえていたこともあり、すごいなあ、ガイドに感心、また、そういう日本人マーケットの大きさにも感心。


*ちなみに神殿入場券 考察
 80 L.E  x3箇所  65 L.E. x1箇所
 50 L.E. x4箇所  30 L.E. x2箇所
 20 L.E. x2箇所
 合計 605 L.E.=エジプトポンド 
王家の谷で、追加で買ったラムセス6世の墓50 LE.がだぶってるので回ったのは全11箇所
ラムセス6世の墓以外は全部ツアー費用に含まれてます。

*3月現在換算レート
100 エジプトポンド = 約 12.08 英ポンド
100 エジプトポンド 日本円にして 約1615円


2010年3月21日
© Mizuho Kubo , All rights reserved…..…..March, 2010

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